あがる息をなるべく押さえて私は状況を確認する。敵はいなくなったようで、静かだった。
私は死んだ目のナーナの肩を持ち、さっきから違和感のあったナーナの目を見つめた。
やっぱり元からこういう色だったのかもしれない。本当の妹なんて始めてみたのだ。しかし…私は彼女をどこかで知っているような気がした。だから、何かが違う、と心が訴えている。違う、何かが違う。一体何が…
私はこの城に入るときに倒した手下をアピアの魔法にかけたことを思い出した。手下の目は灰色に変わっていた。
もしかしたら…
私が今いるのは、アピアンがたくさんある倉庫だった。そこが、一番の隠れ場所だったからだ。
私は近くにあったアピアンを乱暴に取り、ナーナの口に流し込む。
目がだんだんと見慣れた赤色になっていた。
すると、ナーナは急に立ち上がると私を見て後ずさった。
空の瓶に足を滑らせ、私は顔からすってんころりん。
どうやら音が聞こえてしまったみたいで、手下たちが倉庫に入ってきた。
私はホウキに乗り、ナーナと二人乗りして空を飛ぶ。
杖から色とりどりの光が飛び出し敵を倒していく。
私は楽しくなってどんどん魔法を打っていった。爆発音と共に人が一人、また一人と倒れていく。私はその光景がなんだか見慣れたものになってしまい、人を傷つけることに抵抗しなくなっていた。
フィンがどこからともなく現れ、休戦させた。
私は今までのフィンの態度にぷちんっときて、ついに怒り出した。フィンの手にはあの、薬が握られていた。
ナーナが熱弁しているフィンに背中から攻撃を食らわせる。しかし、フィンは全く動じていないようだった。
ナーナが空中を走ってきて、私に耳打ちをした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。