今日の俺はすごく機嫌がいい。
なぜかって…?
それは…
(ガチャ
扉が開く音がする。
そこには彼の姿が…。
ただ名前を言われた。それだけなのに、、
普段"社長"と呼ばれることが多いせいか、
喜んでしまう。
そんな姿も可愛くて、、
ゆうまの後ろから声が聞こえる。
舌打ちをしながら、ゆうたがゆうまの後ろから出てきた。
ゆうたの話し方はなんだかぎこちない。
"まさかな"
なんて思いながらゆうたを見ると、
"余計なこと言うなよ"
とでも言いたいのか、ゆうまを睨んでいた。
でも、
恥ずかしさもあるのかゆうたの耳は少し赤い。
ポンポン
ゆうまはゆうたの頭を優しく叩く。
そう言って、ゆうまの手をどかそうとするゆうた。
マスクで顔は見えないものの、多分彼の口角は上がっているだろう。
…前言撤回。
俺は今すごく機嫌が悪い。
ゆうたとゆうまが外に出ようとした、、
……その時、、
グイッとやまとがゆうまに顔を近づける。
反射的にゆうまは背中を仰反る体制になる。
が、そんなのはお構いなし。
やまとはどんどん顔を近づける。
側から見ると、もうキスする一歩手前だ。
ピトッ
やまとがゆうまのまぶたを触る。
"俺が"
そう強調するように、まぶたをさすりながら言うやまと。
咄嗟にツッコミをいれるゆうた。
そんなゆうたには目もくれず、やまとは名残惜しそうに、ゆうまのまぶたから頬にかけて手を滑らせ、腕を下ろす。
ヒラヒラと手を振りながら、やまとは事務所に入って行った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。