主な登場人物
・円堂守
・風丸一朗太
・鬼道有人(ちょっと)
※前回の続きみたいなものです。
cp的には円夏だけど夏未出てきません。ごめんなさい。
風丸がただただ可哀そうな感じにはなっちゃったかもしれません。
練習が終わって、もう日が沈みかけた時だった。
部室でユニフォームからジャージに着替えた。
着替えが終わってすぐに、俺はいつも通りあいつに声をかけようと思った。
「円堂、そろそろかえ、、、」
まだ練習をしていたあいつを呼ぼうとしたときだった。
あとから行くから先に着替えていてくれと言われた理由が、すぐに分かった。
ー あ、、、 ー
昔からの親友が、一人の女性と楽しそうに話していた。
赤みがかった茶色の髪が、よく似合う。
俺もよく知っていた人物と、ベンチに座りながら話していた。
何を話しているかはわからなかったが、何となく考えていることはわかった。
「、、、」
そして、二人を置いて、走って去ってしまった。
「、、、最悪だ」
つい円堂を置いて帰ってしまった。
「うわ、、、めっちゃメール来てる、、、」
ケータイをみると、円堂からものすごい量のメールが来ていた。
『風丸どこ行った?』
『おーい』
『もしかして先帰っちゃった?』
同じような内容だが、二、三分置きに送られてきた。
「、、、合わせる顔がねぇし、どう返すべきかも、、、」
結局その日は、返信できなかった。
「風丸、昨日なんかあった?」
練習が始まる前、円堂が声をかけてきた。
「、、、え?あ、いや、用事思い出して、、、」
突然声をかけられたことに驚いて、適当に返してしまった。
「そ、そっか、、、ごめんな、待たせたのに、、、」
「いや、いいよ」
少しの無言が続いたが、俺は意を決して、口を開いた。
「あの、さ、円堂」
「ん?どうした?」
「昨日、夏未と何話してたんだ?」
「、、、え?」
円堂は、聞かれたことに驚いていた。
「だから、昨日二人で話してただろ?なんかあったのか?」
少しからかい気味に聞いてみた。
そして、円堂のほうを見てみた。
「、、、いや、とくには、何も、、、」
顔を赤らめながら、ごまかす円堂がいた。
「円堂は、夏未のことが、好きなのか?」
「え!?いや、そういうのはよくわかんないっていうか、えっと、、、」
あからさまなリアクションに、一周回って笑ってしまった。
「はは、お前ってわかりやすすぎるよな」
「、、、悪いかよ」
すねたように頬を膨らませる姿が、かわいいと思ってしまった。
「いや、かわいいなって」
「か、かわっ!?」
大きすぎるリアクションにまた笑ってしまった。
笑うな!とポカポカ殴ってきたが、痛いとは思わなかった。
でも、なぜだろうか。
ー すごく、胸が痛かった ー
「そんなに好きなら、告白でもしたらいいのに」
煽るように言ってみた。
「え!?いやだって、それは、、、」
好きだということに否定しないのかと思ってしまった。
「だって、夏未は俺以外にも似合う人がいるだろうし、、、」
円堂の話を聞いて、以外にもこういうことには弱いんだなぁと思った。
そして、聞いているうちにどんどん胸がずきずきしてきた。
「、、、お前なら、大丈夫だろ」
「、、、え?」
「いつものお前はどうしたんだ。何とかなるって、言えるだろ?」
そう励ましているうちに、円堂はなにか決めたような顔をしていった。
「、、、風丸、俺、やってみてもいいのかな」
ー え? ー
「、、、夏未に、さ、その、、、」
ー いやだ、聞きたくない ー
震える右手を押さえて、心にもないことを言ってしまった。
「いいんじゃないか?お前なら、きっと大丈夫だよ」
「、、、よし、じゃあ今日、伝えてみる!」
「え?今日?まだなんも決めたりしてないだろ?」
「いやでも、決めたって言った日じゃないと、なんか、、、」
そう言って、どんどん進めていく円堂の話が、耳に入らなかった。
「じゃあ、行ってくる!」
「今かよ!この後の練習どうするんだよ!」
「えっと、、、風丸あと頼んだ!」
丸投げかよ、と思いながら、親友の背中を見つめた。
「円堂!」
大声で、その名前を呼んだ。
「、、、がんばれよ!」
そういうと、あいつは嬉しそうに笑っていた。
まるで、応援されるのが、背中を押してくれたのが、うれしかったみたいに。
その顔が、とても、むなしかった。
「円堂、今日の練習だが、、、」
少し遅れて、鬼道が来た。
「ん?風丸だけか?」
鬼道が、俺に声をかけてきた。
「風丸、円堂がどこに行ったか知らないか、、、」
そう言われて、俺は振り返った。
「っ!風丸、どうしたんだ!?」
振り向いた瞬間、鬼道が驚いた。
「、、、鬼道、俺、おれ、、、」
俺は、ありえないくらい泣いていた。
「どうしたんだ!?どこか悪いのか!?」
心配する声も無視するように、鬼道に抱き着いてしまった。
今は、誰でもいいから、ぬくもりを感じたかったからだ。
「俺、おれ、、、うぅ、、、」
こんなことで泣いているなんて、かっこ悪いかもしれない。
でも、本当は悔しかった。
10年以上一緒にいた自分よりも、ほんのわずかしかいなかった彼女に取られたような気持ち。
「、、、悔しいよ、、、!」
きっと、円堂の告白は成功する。
夏未も円堂のことが、好きだから。
両想いで、親友の幸せは、うれしいはずなのに。
「風丸、、、」
鬼道は、俺のことを優しく抱きしめてくれた。
あれから、10年がたった。
俺たちも大人になって、一通の手紙が届いた。
よく知っている名前の、結婚式の招待状だった。
少し迷ったが、出席することにした。
いざその日になって、久しぶりにみた親友は、とても幸せそうだった。
「、、、円堂」
そう呼ぶと、真っ先に走ってきた。
「風丸!来てくれたのか!」
驚きながらも、嬉しそうに話した。
「まぁな、昔なじみの式に来ないやつとかいるのか?」
「いやでも、お前試合とか大丈夫だったのか?」
「今日くらいは大丈夫だよ」
目の前にいる親友の姿は、あの時よりも成長して、立派になっていた。
でもどこか、変わらないところもあった。
「、、、円堂、おめでとう」
俺は、笑って言った。
「おう!ありがとうな!」
円堂は、笑って返してくれた。
すると円堂は、別の人に呼ばれて、行ってしまった。
「、、、この年になって、失恋かぁ、、、」
長く、引き伸ばしすぎたのかな。
ただ、俺も成長したのか、少し気持ちが晴れたようだった。
「やっと、あきらめきれたんだなぁ」
ー やっと、素直に祝えた気がします。 ー












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。