第239話

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2024/04/21 05:00 更新


その日は1日、何をしていたかよく覚えてない。
ボーーっとしながら教室に戻って、早く登校していたことにみんなが驚いていて

それからいつも通り授業をうつ伏せになって受けて、



でも今日は寝れなかった。
ずっと机を見つめながらあと1週間をどう過ごすかを考えていた。

そして気がついたら一日が終わっていた。








芦戸「あなたーー一緒に帰ろー!!」

あなた「あー、ごめん。…ちょっと残ってく、」

芦戸「あー、そっかぁ。分かった!」



一瞬悲しい顔をしたものの、直ぐに笑顔を取り戻して手を振って他の子へと声をかけに行った。
三奈はきっと気が付かないふりをしてくれている



私がいつも通り違うこと。
何かあること。




でも何も無いよって。私が言うだろうってきっと分かってるから。






みんなにそれとなく理由をつけて全員が教室からいなくなるまで待った。












誰も居なくなった教室で一人ぽつんと自席についていた私にやっほ、そう言って教室の扉から顔を出したのは旋くんだった。




あなた「やっほ、旋くんじゃん」

回原「うん、……元気?」


あなた「え?何なに急に??私の心配してくれてんの????イケメン過ぎない????」

回原「……うん。」





あなた「…あー、」



そういうノリじゃないか、
わざとらしく作った笑が自分の顔から消えていくのがわかる

モヤりとした黒い霧が心を覆う













「大丈夫じゃないよ。」

そう言えたらどれだけ楽か。



大丈夫じゃない、どうしたらいい?
みんなといたいよ。

でも無理なんだよ。
元々私は、雄英生徒じゃないから。




そんな言葉をグッと飲み込んだ。









あなた「心配、してくれてんだよね」


回原「うん、廊下で芦戸さんがあなたが元気ないって話してるの聞いて、」


あなた「あー、三奈かぁ、」



やっぱ口軽すぎだよあのこ、なんてへらりと笑う

と同時に机に置かれていた右手が暖かく包まれた
旋くんの手だ。






回原「心配、してるよ。俺だけじゃない。物間とかも話聞こえてて、心配してた。」


あなた「えぇ、あの寧人が?」


回原「うん。あなたはA組にとってだけじゃない、みんなにとって大切な存在だから。」


あなた「……」




手を握る手にぎゅっと力が入ったのを感じた。
こっちを真っ直ぐ見つめる旋くんから思わず目を逸らしてしまった。
だって、見つめていたらきっと泣いてしまう。

私も同じだよって、言いたくなってしまう。
大事だよ。








でもそれは余計辛くなるから。




お願いだからこれ以上、なにも言わないでほしい。











回原「みんなあなたが元気ないのは悲しいよ。……特に、俺みたいなやつはさ」



あなた「……めてよ。」



回原「あなたが弱ってる時に言うのは卑怯かもだけど、今言わないとなんかもう言えなそうだし、」


















目を、合わせてしまった。
思わず。











回原「俺、あなたのこと好きだから。ちゃんと伝わってないかなと思ってさ。」


あなた「やめてってば、……」





へらりと笑う旋くんとは反対に私の目からは1粒の涙が落ちた。
























______





あなた「えいちゃん、髪、お願い」


切島「おー!まかせろ!」




共有スペースでテレビを見ていたえいちゃんにドライヤーを片手にお願いすれば快く承諾してくれた。


みんなの座るソファ近くに腰を下ろせばソファに座っていた電気と瀬呂がこちらへと視線を送る



上鳴「なー、」


あなた「ん?」


上鳴「俺もあなたの髪乾かしてぇ」


切島「だーめ!これは俺の担当なんだよ!!」


上鳴「前爆豪だって乾かしてたじゃんかよ!」


切島「それは俺がいない時だろ!」


上鳴「はーー???ずりぃだろそれは!!」


瀬呂「じゃあ来年から交代制にすれば?俺もやりたいし。いいよね?あなた。」


あなた「来、ねん、」


瀬呂「……あなた?」


あなた「え、あ、え!みんなそんなに髪乾かすの好きなの????じゃあヒーローやめて美容師なっちゃう!??」


上鳴「なんでそうなんだよ!!」





来年という言葉に思わず反応してしまった。




来年なんてないよ。
私はもういないよ。



みんなはこのまま、私一人だけがここから消える。













あーぁ、私1週間も耐えられるかな、これ。









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