美冴「 あなたちゃん朝だよーーー!! 」
『 ん...、まだ...寝かせて、 』
美冴「 もう...早く起きなさい!!!
今日は高校の入学式でしょう? 」
『 高校...はっ、!! 』
美冴さんの言葉で私はベッドから飛び起き、
急いでリビングへ向かう。
『 今日は入学式だ〜〜〜!!
制服どこにしまってたっけ、!? 』
テーブルに置かれた朝食をぺろりと完食して
クローゼットからぴかぴかの制服を取り出す。
ぴかぴかと言っても光っている訳では無いが...。
ずっと憧れていた高校に入学したんだ。
制服は合格者の象徴といっても過言ではない。
美冴「 ゆっくり周りみながら歩くのよ!
車にはねられたりしないでね 」
『 もう!小学生じゃないんだから...
じゃあね!行ってきます!! 』
美冴「 ...行ってらっしゃい、頑張ってくるのよ! 」
私は美冴さんに大きく手を振って家を飛び出す。
檜山美冴さんは私の叔母だ。
両親を亡くした私を、快く引き取ってくれた人物である。
まだ心も幼く世界で一番大切だった両親を失った私を
ぎゅっと抱き締めて「 一緒に暮らそう 」
と暖かく迎えてくれた。
両親の形見であるネックレスを握りしめて
桜舞う通学路を走り抜けた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。