名作side
僕の名前は松田名作。
竜宮小に通っています。
突然だけど今、僕達はとても混乱しています。
理由は、僕達n…
はぁ…
っていうか…
僕が説明すると、なぜかあなたちゃんの顔が曇った。
あなたちゃんは、目に涙をためながら、ポツリポツリと話してくれた。
まさか、あんなに優しくて、明るいあなたちゃんに、こんな過去があったなんて知らなかった。
でも…
あなたside
突然、知らないところに居た。
さっきまで、部屋に居たのに。
そこに居たおにーさま達が言った。
「君の友達」
と。
友達はつくってはいけないもの。
母様はそう言っていた。
辛かった。
昔から一緒だった皆との仲も、あの人の手によって引き裂かれた。
「貴女は必ず名作になるの」だとか、
「貴女は他とは違うの」だとか。
いつもいつも…。
そんな母様が怖かった。
でも、このおにーさまは、初めてみるような人だった。
私の頭を撫でる手はとても温かく感じる。
こんなことを言う人も、こんな温かさも、
知らないものだった。
…………
名作くん。
私ね、嬉しかったんですよ。
私が転校してきて、貴方が話し掛けてくれたあの時。
あんな扱いを受けるのは初めてだった。
初めて、人の温かさを感じた気がした。
転校自体、母様が決めたこと。
乗り気なんてするはずがなかった。
あの時、あの瞬間、
体に電流が走ったようだった。
あれからも、皆と接して、逆に怖かった。
私が、こんな幸せになってもいいものかと。
でも嬉しかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。