第38話

キスマークのおはなし(短い)
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2023/11/06 10:48
「うーん...」
魔理沙が私の首すじを指でさすりながら、不満そうにそう呟いた。
「付かない」
その言葉を聞いて、上手くいかなかったんだな、と思った。
そんな魔理沙の首すじには、赤い跡が付いている。
もちろん、私が付けたものなのだが。

「もう諦めたら?」
「やだ」
そう言って、はむっと私の首すじに口を付ける。
ちゅ、ちゅ、と必死に吸ってるのは分かるが、あまりにも下手くそでただただくすぐったい。
魔理沙は私にキスマークを付けようとしてるらしかった。
「なんで付かないんだー?」
「あんたが下手だからでしょ」
私の言葉を聞いて、魔理沙がむっとする。
でも事実だし。

「霊夢は出来るのに…」
「え、そりゃあ…ねぇ…」
「…なんだよ」
機嫌を損ねた様子の魔理沙がそう聞いてきた。
そりゃあ、肺活量とかなにもかも違うし。
そもそも魔理沙はやり方が合ってないし。
「もう、もっかいやる」
「えー…」
魔理沙が再び私の首すじに口を付ける。
こうなったら多分、跡が付くまでやめてくれない。
はぁ、と溜息を吐きつつも、そんなに必死になってるというのが可愛くてちょっと頬が緩む。

しかし、くすぐったい。
多分また上手くいってないんだろうな、と思った。
「魔理沙、もうちょっと強く吸わないと無理よ」
「…こう?」
さっきよりも明らかに強い力で吸われる。
吸われてる、という感覚があるのでもしかしたら付いてるかもしれない。
ぷはっと魔理沙がそこから口を離す。
「…お?わ、霊夢!出来た〜!!」
「ほんと?良かったじゃない」
私からは何にも見えないけど、魔理沙は凄く嬉しそうだった。
どんな感じに付いてるのか見たかったけど、寝る前ということもあり少し面倒だった。
明日の朝見よう、と決める。
楽しみが出来た。

「コツ掴んだかも、もう1回する」
そう言って魔理沙は今度は反対の首すじに口を付けた。
相変わらずくすぐったいけど、ちゃんと吸われてる感がある。
ふむ、付けられるのも悪くない。
「見せびらかしちゃおうかしら」
「えっ、だめ」
慌てた様子で首すじから口を離して私の独り言に反対する魔理沙。
結構頑張って吸ってたのか、顔が赤くなっている。

「どうして駄目なの?」
「いや...なんかやだ...」
「そんなに嫌ならしないけど...」
そう返しつつも、嫌がる理由がイマイチ分からない。
そういえば私が付けてやったときも決まって隠すし。
「付けられるの、ほんとは嫌だったの?」
「え、嫌じゃないよ」
「うーん?」
付けられるのが嫌じゃ無いとなると、ますます分からない。
跡を見られるのが嫌、とかだろうか。
でも別に私は見られても良いから、私に付いた跡を見せびらかすのが駄目なのは分からない。

「え、わかんないんだ...」
「えぇ、全く」
ほんとに全くわからない。
ただ、こいつは意外と乙女なので、多分そういう理由なんだとは思う。
私だったら見せびらかしたいけど。
「こういうのってさ、秘密にしたいじゃん」
「誰によ」
「他の人」
そういうものなのだろうか。
分かるような、分からないような。
「えー、私だったら、せっかく可愛い彼女に付けてもらったんだから自慢しなきゃ勿体ないって思っちゃうわ」
「か、かわ...っ!?」
ちょっと褒めてやると、分かりやすく照れた。
そういうとこ。

「と、とにかくっ私はこういうの秘密にしときたい派なんだよ」
「私は見せびらかしたいけどね」
「ぐぬ...」
両者譲らず。
私は見せびらかして自慢したいけど、魔理沙はそれを嫌がる。
どうしたものか。
「...私と霊夢だけの秘密じゃ...嫌か?」
魔理沙がきゅっと私の服の袖を掴みながら、上目遣いでそう言った。
なるほど、そう言われてみると嫌な気はしない。

「良いわね、それ」
私がそう言うと、魔理沙は嬉しそうにぱっと笑顔になった。
分かりやすい。可愛い。
「じゃ、じゃあ…!」
「えぇ、秘密にしましょう。2人だけの秘密、ね」
「やった...っ!」
そう言って、魔理沙は嬉しそうな顔で笑った。
確かにこれは、他の人には秘密にしたいかも、なんて思ったりした。





〈あとがき〉

みなさまお久しぶりです
りんたぴです

投稿サボったくせに短いお話ですみません!ほんとうに!
これに関してはほんとにまじですみません
短いお話でした
霊夢さんキスマ付けられても隠さなさそうだよな...というおはなしでした
可愛い推しCPの幻覚が最近よわいぞ〜なにゆえ〜

他者のレイマリ作品から得られる成分があまりにも足りていない...
どうかどうか誰かレイマリを恵んでくださいまし...私になにか報酬を求めてもよいので...()

来週はがんばる!たぶん!
むりかも!
レイマリちゃんのことはいつも好きなんですけどね...普通に文才がないのでね...
このへんでおしまい!またねー!!!

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