第36話

静かな誘導
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2026/05/02 05:03 更新
みかside
同日 帰り道




影片みか
影片みか
__ほな、また明日な。今日もほんまおおきに♪
あなた
はい。こちらこそ送っていただいてありがとうございました。

レッスン後、おれは彼女と一緒に帰り、家まで送り届けた。


別れた後も、何度か振り返って彼女の姿を確かめる。

彼女は家の前で、おれの姿が見えなくなるまで、ずっと手を振り続けていた。

そんな子どものような愛らしい姿に、思わず頬が緩んでしまう。

影片みか
影片みか
…ほんま、可愛すぎてどうにかしてしまいそうやわ。

名残惜しい気持ちを抑えながら、角を曲がる間際に手を振り返し、そのまま帰路につく。




今日の出来事を振り返りながら、またもや自身の口元が緩んでいることに気が付いた。

影片みか
影片みか
(…思った以上に事が上手く進みすぎて、逆に恐いわぁ。)
影片みか
影片みか
(…おれ、天才やないやろか♪)




__事は、今日の朝に遡る。




おれは、朝から彼女がプロデュースしているユニット全てに声を掛けてまわっていた。

影片みか
影片みか
ちょっとええやろか?あなたの下の名前ちゃんのことなんやけど。

彼女のことだと言えば、どのアイドルもすぐに話に喰いついた。


少しおれを警戒しているような様子が見受けられた者も居たが。

影片みか
影片みか
最近ちょっと忙しそうやろ。今回なんて倒れてしもて…おれに責任あると思ってて…
影片みか
影片みか
少し休ませてあげたいねん。
影片みか
影片みか
おれ1人でどうこう出来る話でもないし、みんなに協力してほしいんやけど。

心の底から反省した様子を見せれば、彼女思いのアイドルは皆共感し、おれの提案に簡単に乗ってくれた。


そう。今回彼女からプロデュースという仕事を奪ったのはおれだ。


全て、おれが根回ししたから起こった出来事だった。

影片みか
影片みか
(これで一先ず、しばらくは他のユニットのプロデュースは控えることになるやろなぁ…♪)

彼女にとって仕事は全てであり、アイドルを支えることが彼女にとっての支えになっていることも分かっていた。

それは彼女と長らく関わっていれば、十二分に伝わってくることだった。


そんな彼女から仕事を奪ってしまった時、彼女はどうなるのだろう。

影片みか
影片みか
(…やってみなきゃ、分からへんよな♪)
影片みか
影片みか
(…初めは他ユニットのレッスン出来ないように、強制的に拘束してまうことも考えたけど…。極力あなたの下の名前ちゃんに嫌われるのは避けたいしな。)
影片みか
影片みか
(むしろ好かれる方法で考えな、損やもんな♪)
影片みか
影片みか
おれにとってあなたの下の名前ちゃんしかおらんように、あなたの下の名前ちゃんの世界もおれだけにしたるで…♪
影片みか
影片みか
(…あくまでも自然と、な。)


影片みか
影片みか
(…まあ、言うてもこんな思い通りにいくとは思ってへんかったけど。)

見事に、彼女からは「おれとのレッスンを減らす」という考えは微塵も無くなった様子だった。

影片みか
影片みか
(…お師さんのこと、伝えたタイミングも相まってやろなぁ。)

おれは期が熟すのを待ちつつも、以前からお師さんに何度かライブハウスの話を持ち掛けていた。

もちろん渋っていたのは変わらないが、おれがまさかここまで強引に進めているとは思っていなかったのだろう。話していくうちに少しずつ興味を持ってくれるようになった。

それは純粋にとても嬉しかった。


そして、それを彼女は自分のことのように喜んでくれていた。

そんな彼女が、またひどく愛おしくてたまらなかった。

影片みか
影片みか
(…ほんまに、優しい、良ぇ子やな。)

そんな彼女の性格を利用して。

Valkyrieの復活も利用して。

おれは彼女が自身から離れられない状況を確立したのだ。

影片みか
影片みか
(…おれとは正反対やね。)
影片みか
影片みか
(…おれ、あなたの下の名前ちゃんのせいでこんな悪い子になってもうたで…?最後まで、面倒見てくれるんやろ?)
影片みか
影片みか
はぁっ、ほんまに明日が楽しみやわぁ…♪

大好きなお師さんと大好きな彼女には、仲良くしてほしいと、純粋に願っていた。

影片みか
影片みか
(…ライブも、あなたの下の名前ちゃんとお師さんの期待に応えられるようにせんとな。)
影片みか
影片みか
よぉしっ、明日から死ぬ気で頑張るでっ♪




おれはかつてないほど浮き浮きがおさまらず、その日はスキップをしながら帰った。

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