第2話

序章
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2023/11/27 06:07
昔々あるところに、小さな村がありました。
 村人は平和に暮らしていましたが、ある日、1人が
服だけを残して消えてしまいます。
服は大きな爪で引き裂かれ血がべっとりとついていました。 
 狼ではありません。狼は人間を丸呑みになんてできないからです。
 熊ではありません。大きな熊なんてでたらだれかが気づくからです。
 人ではありません。人には人を引き裂く爪なんてないからです。
 それは人狼のしわざでした。
 人狼は人に化ける怪物です。大きな爪で人を引き裂き、大きな口で人を食べる、おそろしい生き物です。仲間に化けた人狼が、こっそり村人を食べていたのです。
 村人たちは広場に集まり、輪になりました。そして仲間になりすました人狼を見つけ出すことにします。
 人狼は姿形を真似ているだけです。話し合いを続ければ必ずどこかで嘘をつきます。
 村人は話し合います。嘘をついているのはだれか。
 村人は話し合います。怪しいのはだれか。
 村人は話し合います。仲間でないのはだれか。
 証拠なんてありません。お互いの顔を見て、声を聞いて、身振り手振りや言葉に注意して、怪しいと思うものを選ぶしかないのです。村人たちは石を持ち、怪しい仲間に投票します。一番多く石を集めた1人は処刑され、その日の話し合いは終わりです。
 ですが、ずる賢い狼は生きていました。
 夜中にこっそり起き出して、村人の一人を食べてしまいます。
 次の日、村人はまた話し合いをすることにしました。
 人狼は強い生き物ではありません。村人2人に囲まれたら、棒で叩かれて負けてしまいます。でも、1対1
なら村人に負けることなんてありません。
 村人は話し合いを続けます。仲間の中にひそむ、人狼を見つけるために。
 人狼は嘘をつき続けます。村人が最後の一人になるまで。


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