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第3話

1 *
43
2019/04/20 10:48
ピッ ピッ ピッ



真っ白で殺風景な部屋に心電図が鳴り響く。


横には泣くお母さんと不安そうな春斗。


「泣かないで、大丈夫だから」

そう言いたい。


だけど、何も言えない。





_ 30分前



医者
四ノ宮さん、よく聞いていてください
本当に深刻な話ですので、、

医者は深刻そうな顔で私の病気について話し始めた。
医者
滴さんの病気は"水泡症候群"です
母親
水泡症候群、、?

初めて聞く病名だった。
医者
水泡症候群は"人魚姫病"とも呼ばれています
人魚姫病、、?
医者
はい、この病気はすごくすごく稀な病気でして、、。治療法もまだ見つかっていません
医者
症状については、足の筋肉が麻痺し進行していくと足が全く動かなくなります。声帯の細胞も破損していき、声が出せなくなります。
御伽話にある"人魚姫"。


人魚と言われると可愛らしい、ディズニーのアリエルが思い浮かんでしまう。


可愛らしい印象を持てる"人魚姫病"とい名前に反して、症状は全然可愛くない。

医者
そして、この病気になるとだんだんと周りの人の記憶が無くなってしまいます。
記憶が、?
医者
はい、、。何故記憶が無くなるのかは分かっていないんです。何度自己紹介をしても次の日には覚えていない、ということも稀に、、。
母親
死んでしまうとかではないんですか、
医者
死亡率は80%です
晴斗
80、、?
医者
残りの20%を信じるしかないかと、、。
こちらでも全力を尽くしてみますが、、、
ドラマでよく聞く医者の決まり文句が左から右へと通り抜けていく。


死亡率80%?

そんなの死ぬと言われてるようなものじゃない?
晴斗
滴、大丈夫?
うん!全然余裕!
全然大丈夫なんかじゃない。

だけど、春斗とお母さんが少しでも不安にならないように無理やり笑顔を作った。

大丈夫、私は強いんだから。

そう言い聞かせた。



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