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第2話

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2023/11/03 06:23
ーあなたsideー
あなた

パ……パ…

リヴァイ
リヴァイ
…おい…起きたのか…?
あなた

うわあぁぁぁあ!

驚いて大きな声出しちゃった…。
私の顔の目の前に、少し目付きの悪いお兄ちゃんがいた。
私の周りには5枚程の毛布がかかっている。
…あれ、わたし…お外にいたのに。
あなた

え、えっと…

リヴァイ
リヴァイ
安心しろ…誘拐したわけじゃねぇ。お前が路地で凍死寸前だったから連れてきたんだ…
あなた

…そうだったんだ…本当に、ありがとうお兄ちゃん

命の恩人であるお兄ちゃんに笑いかけた。
すると、お兄ちゃんはなぜか顔を覆った。
どうやら、悪い人ではなさそう。
ファーラン
ファーラン
あ、起きたんだ?
イザベル
イザベル
良かった良かった!
後ろから2人の大人の人が出てきて少し竦んでしまう。
優しそうなお兄ちゃんと、茶髪のやんちゃそうなお姉ちゃん。
あなた

あ、あ…

リヴァイ
リヴァイ
お前ら…まだ起きてたのか?夜中の3時だぞ…
ファーラン
ファーラン
気になって起きてちゃうに決まってるだろ?こ〜んな可愛い子が瀕死の状態だったんだから。ね?
イザベル
イザベル
そうそう!あっ、俺はイザベル!
よろしくね、名前…なんて言うの?
気さくに話しかけてくれた。
一気に緊張が逸れる。
あなた

イザベルお姉ちゃん…えっと、わたし、あなたっていうの!

イザベル
イザベル
へぇ!あなたか!名前まで可愛いな!
あなた

そ、そんなこと…

リヴァイ
リヴァイ
ガキが謙遜するな…あなた、俺はリヴァイだ。
あなた

リバイお兄ちゃん!

リヴァイ
リヴァイ
リバイじゃない…リヴァイだ。
ファーラン
ファーラン
ははっ、俺はファーランだよ、あなたちゃん
3人は仲が良さそうだ。
あなた

リヴァイお兄ちゃんに、イザベルお姉ちゃんに…ファーランお兄ちゃん!!
助けてくれてありがとう!

イザベル
イザベル
助けたのは兄貴だよ!ここまでお姫様抱っこで連れてきてくれたから!
リヴァイ
リヴァイ
おい!余計なことを言うな…
ゴツンっと音が鳴る。
イザベル
イザベル
いてぇよ兄貴…
その横で、ファーランお兄ちゃんが笑いを堪えた。
2人は、もう寝るね〜!と言って寝室へ戻っていく。
私のために起きていてくれてたから、きっと眠いんだ。
そしてここはリヴァイお兄ちゃんの部屋だったようで、ふたりきりになってしまった。
沈黙が続いた後、お兄ちゃんが口を開く。
リヴァイ
リヴァイ
…体調はどうだ?
あなた

あったかくしてくれたから、元気だよ!

リヴァイ
リヴァイ
…そうか。…お前は、着ている服からして地上の人間だろ?
あなた

…うん。…っあ!わたし、地下街に用があるパパについてきたの!あそこでパパを待ってて…

リヴァイ
リヴァイ
父親を?俺が見つけた時には夜中の1時だったが…。そんなに待たせる親がいるんだな。
あなた

…多分、遅くなっちゃったんだよ。パパにここで待っててって言われたのに…待ってられなかった私が悪いんだ。だから、明日になったらあそこに戻らなきゃ!

私はパパのことを思い浮かべて活きいきと話した。
それなのに、お兄ちゃんの表情はどんどん曇っていく。
まるで、絶望したような哀れむような。
どうしてだろう。
すると、頭を撫でられた。
あなた

??

リヴァイ
リヴァイ
…お前…今、いくつだ。
あなた

?8歳…だよ

リヴァイ
リヴァイ
…ちっ…
舌打ちをして、私を抱きしめた。
そこで私は気づいた。
初めて、人に抱きしめられたこと。
ずっと、このあたたかさを求めていたことを。
背中を何度もさすってくれる。
お兄ちゃんは石鹸のような良い匂いがして、
なんだか涙がぽろぽろと出てきた。
あなた

…う、う…グスッうぁ…

…本当は気づいてた。
パパに捨てられたっていうこと。
30分で戻ってくると言ったパパが、あんなに遅れるはずがない。
信じたいけど、それでも不安になったの。
パパの不倫でママが出て行ってから、私にはパパしかいなかったの。
あなた

…わたし…パパに捨てられちゃっ…

リヴァイ
リヴァイ
…ああ…不安だっただろ…もう大丈夫だ、あなた、今日からここで暮らせ
あなた

…え、そんな、わけには…

助けてもらって、そこまでさせるわけにはいかなかった。
お兄ちゃんは更に眉間に皺を寄せて私の目を見る。
リヴァイ
リヴァイ
…俺が一緒にいて欲しいんだ…ここはあなたのような純粋なガキが、ひとりで生きていける場所じゃない。
あなた

ごもっともだ。さっきもお兄ちゃんに助けてもらわなければ死んでいた。
リヴァイ
リヴァイ
…いつか一緒に地上につれていくと約束する…それに、あなたを希望として頑張れる気がする。
あなた

…なんで…

リヴァイ
リヴァイ
俺もガキの頃、父親代わりになってくれたやつがいた…ガキに保護者は必要だからだ。絶対な。
あなた

…本当に、良いの?わたし、家事ぐらいしかできない…

なんて、なんて良い人なんだろう。
こんなに優しい場所があるなんて知らなかった。
リヴァイ
リヴァイ
ふっ、その年で家事ができるなら上等だ…
お兄ちゃんは笑った。すごく、安心する笑顔だった。
感謝しても、しきれない。
涙も、いつの間にかおさまっていた。
リヴァイ
リヴァイ
…泣き疲れただろ、紅茶でも飲むか?
あなた

飲みたい…

リヴァイ
リヴァイ
何が良い…色々あるが
あなた

お兄ちゃんがいつも飲んでるやつ…

リヴァイ
リヴァイ
いいぞ…今、茶葉と湯を入れたから、少し待とうか
ろくそくの灯りが揺れる。
その空間は夢のようだった。
あなた

ありがとう…たくさん…
いつか、いつかお礼するからね

リヴァイ
リヴァイ
…礼は…そうだな。あなたが幸せになることだな…
しゃがんで、私の頬をゆっくりと撫でた。
固まってしまった涙をとっているようだ。
最初は怖い目つきなんて思ったが、その瞳は、誰よりも優しい。
なぜか顔が火垂る。少しだけ恥ずかしい。

幸せ、幸せ?
あなた

わたし、もう幸せだよ。お兄ちゃんとこれからも一緒にいられるから…

すると、お兄ちゃんの顔も紅くなった。
私に興味も持たず、1日パン一つしかくれなかったパパとの暮らしとは違う。
きっと、これが幸せということなんだね。
リヴァイ
リヴァイ
…そうか。じゃあ、これを飲んで風呂に入ったら早く寝ることだな。
紅茶をフーフー冷ましてから、私にくれた。
ごく…
なんだか、苦くて大人の味がする…
けど、
あなた

…おいしい

リヴァイ
リヴァイ
…それは良かった…
飲み終わると、お兄ちゃんは私をお風呂へ連れて行った。
リヴァイ
リヴァイ
ひとりで入れるな?
あなた

え?お兄ちゃんは入らないの?

リヴァイ
リヴァイ
…馬鹿か…
お風呂は今までいた家のと違ってすごく綺麗だった。
信じられない量の石鹸がある。
もしかして、綺麗好きなのかな?
そんなことを思いながら、汚れた体を洗い流した。
着替えは、お兄ちゃんの白いシャツを借りた。
良い匂いがする…
あなた

お兄ちゃん…起きててくれたの?ごめんね、お風呂出たよ

リヴァイ
リヴァイ
…お前、もっとよく拭け!
そう言われ、髪の毛をぐしゃぐしゃっと拭かれた。
リヴァイ
リヴァイ
…これで良いだろう……でかいな、服が
あなた

お兄ちゃんが大きいからだよ!

リヴァイ
リヴァイ
……見違えたな
あなた

そうかな?ふふっ

リヴァイ
リヴァイ
……
こんなに幸せな夜は初めてだ。

ーリヴァイsideー

この天使みたいなガキを育てることにした。
にしても、あなたを捨てた父親を殺したい。

…娼館の前に捨てたのも、憲兵に見つかり自分が逮捕される前に、働かせようといった算段だろう。
客や店主があんな美形を見逃すわけがねぇ…。
もし連れて来なかったらと考えると恐ろしい。

こんな、純粋無垢でいたいけなあなたに…穢らわしい地下街は似合わない…

心からそう思った。少し会話しただけでも、性格の良さがわかる…。
俺の腕の中で本音を出して泣く姿、
紅茶を大事そうに飲む姿や、
素直な返事。

何より、風呂からあがったときだ。
…こんな俺に、笑いかけてくれた。
地下街で失った信頼や汚れた心が浄化されたようだ。
あなたという希望があれば、俺は…もしかしたら、こんな世界から、抜け出せるかもしれない。
不覚にも、可愛くて仕方ないと思ってしまった。
初対面のガキに、ここまで絆されるなんて柄じゃねぇのに…
あなた

ねぇ!お兄ちゃん!

名前を呼ばれるだけで心が満たされる…
リヴァイ
リヴァイ
…リヴァイ、でいい…
あなた

…分かった!リヴァイ、リヴァイ!

リヴァイ
リヴァイ
…っ
絶対、絶対あなたを守り抜く…
そして、地上で穏やかな生活を送りたい。
あなた

…眠くなっちゃったの、もうすぐ朝だけど…

リヴァイ
リヴァイ
じゃあ、寝るか?
あなた

うんっ!

 
あなたを抱き上げ、ベッドに連れて行った。
そして、2枚の布団を被せる。
リヴァイ
リヴァイ
…寝れそうか?
あなた

…しらゆきひめ…

リヴァイ
リヴァイ
あ?
白雪姫、あなたが抱えていた絵本のことか。
濡れていたから乾かしておいた。
リヴァイ
リヴァイ
…それを読んだら寝れるのか?
あなた

…うん、毎日読んでいたの、あれがパパからもらったたったひとつのものだから…

リヴァイ
リヴァイ
…ちっ
…父親のことは、早く忘れて欲しかった。
けれど、あなたにとってはそんな苦しい記憶も大事な思い出なのかもしれねぇ…
俺は、机の上に置いておいた本を持ってきて、足の間にあなたを入れて読み聞かせた。
リヴァイ
リヴァイ
…昔、あるところに__________
本は意外と早く読み終わる。
俺は童話なんて初めて読んだが、死んだお姫様を王子様が助けに来る、というベタな内容だった。
しかし、あなたは目を輝かせている。
リヴァイ
リヴァイ
…この、王子が好きなのか?
あなた

…うん!かっこいいんだよ!お姫様のこと、助けに来てくれるから!

さっきよりも大きな笑顔で憧れを語っている。
このくらいの年のガキには、こんなやつがモテるんだな。
あなた

…なんか、リヴァイみたいだね!

リヴァイ
リヴァイ
…あ?
目を丸くしてしまった。
まさか、そんな小っ恥ずかしいことを言われるとは。
あなた

私はお姫様みたいに可愛くないけど…でも、王子様はリヴァイみたいだよ!

あなたが可愛くない、だと?
そんなわけあるか。
リヴァイ
リヴァイ
…お前は可愛い
そう言ってあなたの腹に手を回して抱き寄せた。
小柄だといじられる俺からしても、小さすぎる体だった。少し触れたら壊れてしまいそうなほど…。
多分だが…ここまであなたに俺が執着したがるのは…初めて守りたいものができて、嬉しかったんだ…。
あなた

え、リヴァイ…っ?

あなたは戸惑った。
そして俺は、そのまま寝てしまったらしい。
その日は、今までで一番よく眠れた。
…どうも、作者です!
なんかリヴァイがロリコンみたいになってますけど違いますからね!
ただ、妹のように可愛がってるだけです。
まあ、夢主が成長したら恋してしまうんですけどねぇ…w
長編になると思うので、よろしくお願いします💓

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