とある日 午前5:23分、、
IN テン事務所
ウィーン、、
シーーン...
そりゃ今は5時代ですもの
サイドキックは誰1人居らず朝から、、
いや、夜中から働いていた社畜のテン以外に誰もいるはずないのだ
エンジェルヒーロー ”テン事務所”の本部は東京都にあるが、管轄の範囲は全国だ
公安との融合事務所でもあるため管轄が東京都だけと言う訳にもいかないのだ
その代わり入手出来る情報の質は高く 捌ける事件数も種類も日本一だろう
私は馬鹿でかい事務所内をトボトボ歩きながら”所長室”と書かれている重い扉を開けた
ガチャ
中は何ともだだっ広い部屋
そして中央に佇む黒の重厚感のあるデスク、、
正面は窓張りとなっており何とも厳しい雰囲気の部屋だ
この部屋は勝手に公安が手配したもので
何となくあのクソ会長の部屋を彷彿とさせるので心底苦手だった
渋々椅子に腰掛けるとデスクには昨日処理した事件の報告確認書が置かれていた
昨日帰ってから急いでまとめたんだろうな、、
ホントに優秀なサイドキックで助かってる
正直個性云々よりオールマイティーに仕事が出来るかの方が大事なんだよ
事務仕事が出来なきゃサイドキックとして働けないしね
午前7:00
あれから2時間、、必死に書類と睨めっこしてやっと終わった
そんな事を嘆いていたら所長室のドアにノックの音が響いた
コンコンコン、、
入ってきたのはサイドキック達だった
テン事務所は書類は書類でもパソコンのPDFファイルで送られる
紙なんか媒体にしてたら事務所が紙で埋もれちゃうからね
思わずお茶を吹き出しかけながら問い詰めた
平然としたように言い放つサイドキックにちょっと腹が立ったが、彼らの言うことが正論なので黙っておいた
もしや、、
ですよね〜、、、
めんどくさい、、
溜息をつきながら死んだ目をしていると
めっちゃマジトーンであのサイドキックは暗い笑顔を向けてくる、、
怖いってば、、
コンコンコン、、!!
またドアのノックが鳴った
真っ赤な翼を携えた軽薄な雰囲気の男
ホークスが入ってきた
ジロッ
今日何度目かのため息を着いて顔を上げる
ホークスの後ろには困った顔をした彼のサイドキック達が申し訳なさそうにこっちを見ていた
何故か仰々しいサイドキック達、、
恐らく所長って事で緊張してるんだな
サイドキック達にはワザとだし
ホークスは、、親だから別に演技もクソもないけど、、
何か事務所ツアーが始まろうとしてる、、
別になんもないのに、、
ホークスのサイドキック達はかなりの広さのあるこの事務所に興味津々のようだ
サイドキックのデリートはウキウキでこっちを見た
普段客人何て来ないから物珍しいんだろう
ずっとあのクソ会長の様な呼ばれ方が大っ嫌いだった
私は所長何て大層人じゃない、ヒーローテンの方が幾らかマシだ
私のサイドキック達は皆優秀なのだが
結構自由人、、
社畜から解放されたのを反動に"自由にできる時に自由にしとけ"精神が身についてしまったそう
ね?とサイドキックを見ると肩を竦めていた
ホークスのサイドキック達はホワイト企業そうだもんな〜
いや、ホークスの相手するだけでブラックだな、、
冗談で済むといいな、、ココはグレーな事務所だからね〜
アハハと笑うとホークス達は恐ろしいものを見るような顔をしていた
ガチャ、、
扉の向こうに誰もいないか聞き耳を立てながらドアを閉める
まったく、何が "どーしたの?"だ
会った時から瞳孔が揺れ気味
それに瞬きの回数も多い
何か隠しててるのは知ってる
公安でポーカーフェイスを仕込まれてるんだろうけど私には分かる
しょっちゅう嘘つきと接してたから嘘には敏感だった
あー、嫌な事思い出した、、やーめよ(笑)
ホークスの雰囲気が変わり鋭い目でそう言った、、
ヒーロー側の情報を伝えてはいけない?
No.2である彼に?
どういう事だ、、まるで何かに悟られまいとするような、、?
、、、もしかして、、
こういう回りくどい言い方してくる人は公安でもうじゃうじゃいて
言葉を濁す時にはだいたい後ろめたい事であるのが多い
まぁ、今の返事で大方当たってるんだろ、、
仮に潜入だとすると公安や重要機関に関わるのが難しくなる
、、、つまり
あぁ、悲しき社畜の始まりかもしれない、、
終わったらホークス覚えとけよ、、(血涙)
鋭い雰囲気からいつも通りのおちゃらけキャラに戻ったホークス
まぁ、ポーカーフェイス、、というより世間ではミステリアスな男とも言われてるくらい人を自分の内側に入れない人だ
まぁ、ポーカーフェイスなんて私には関係ないけどさ
父さんはそうやって少し悲しそうに笑った、、
ごめんね、もう嘘まみれだから戻れないや
嘘は簡単に信じられると辛くなる、、
父さんにはそんな思いして欲しくないのが本音
ガチャ、、
純粋無垢の明るい笑顔でそう答えた
私はテン
皆を守る 天使のように
だから今日も仮面を被って演じてる
口角を程よくあげて眉を下げめに、、
人はこういうへにゃっとした笑顔に弱いから
何かはぐらかす時に有効的
あー、ヤダヤダまるで私ペテン師だわ(笑)
サイドキックには少し気を許して素顔を見せることもあるあなたちゃんなので
こういう猫かぶりはサイドキック達にバレてる、、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
IN イベント会場
主催の事務所という事もあり時間に余裕を持って着いたが、既に会場には多くのヒーロー事務所や公安関係の人達で溢れていた
いや、マジで急だし有無を言わせない感じ
聞き方に悪意を感じるよ、、??
ま、こんなヒーローだらけの場所で何か起こそうとするバカはいないと思うんだけど、、
とすると主に迷子や事故防止的なパトロールの意味が強いのか
そう言って慌ただしく走っていった
こないだ知り合ったばかりなのにホークスに苦笑いされてるサイドキック達、、
まぁ普通所長にこんな無茶ぶりするサイドキックなんて中々居ないもんね
あの人ら色々扱い雑だけどこういう事だけ気を使ってくれたりするんだよね〜、、
意外と人の心持ってたらしい(笑)←失礼
人を助ける人なら尚更休息が必要なのに
世間はそれを許さない
トップヒーローなんかは生涯の殆どを仕事に注ぐことになる
でもそれじゃダメだ ヒーローもヴィランも一般人も皆が笑顔で暮らせるようにする為に
その為に私がいるんだ
朝日に照らされながらニカッと笑う
速すぎる男の名セリフ、取ってやったぜ フフ…
初めて言ってみたけど結構かっこよか〜
今度また言ってみよ(笑)
だだっ広い会場を軽い足取りで歩きながら
ホークスと軽口をたたいていた
目指すはもうちょい真面目なヒーローだから他の人には見せられないけど
何だかんだホークスとは仲良しだった
、、暫く歩いていると
特徴的なジーパンの襟長服にきっちりと整えられた7:3分けの髪の毛
No.3 ヒーロー "ベストジーニスト"が現れた
その横に居る炎に身を包まれた厳しい顔つきのヒーロー 現No.1"エンデヴァー"もいた
私が話しかけるとジーニストさんはクルっとまるでモデルの様な美しいターンでこっちを向いた
ジーニストさんの頬が緩みとても優しい目付きになった
あー、ホントイケメンだなぁこの人、、
目元だけで分かる顔の良さ〜
私は悪戯っぽくニコッと笑いかけた
未来の約束をするのは好きだ
約束すればする程、その為に絶対叶えるって
気持ちが高まっていつも頑張れる
、、、それはそうと、、
さっきからずっと横から視線を感じる、、
こりゃエンデヴァーさんだな
正直、この人苦手なんだよねー、、
父さんはファンみたいだけど暑苦しくて性格キツいし
何より焦凍くんから盗み聞いた限りだと
自分の野望の為に個性婚して厳しい訓練をさせるようなヤバい人何だよな〜
出すとこ出せば虐待レベルだよ、、
ま、これは全力で隠すしかないな
声色が上ずるとダメだけどなるべく明るくやった方が良さそう
ホークスの様なヘラヘラとした感じだと信頼されにくいし、、
何で無言なの、、?!?
怖いんですけど、、!!なんか変な事言ったかな?!
いきなり何を言うかと思ったら、、
何だこの人、、
ヒーローの前でほかのヒーローの様だなんて何だか"パクリ野郎"だと言われるようなもんだよ、、?
、、、この人もか、、
そう笑うと彼は驚いたように私を見つめた
そしてすぐに バッ!とホークスの方を振り返った
べらべら喋る奴としか認識されてないの、、??(笑)
心外!とでも言うような顔でホークスがエンデヴァーの顔を見て叫んだ
、、、は??ちょっと待って、、
ドヤァ〜じゃねぇんだよ!!?!
意味わからん、、ほかのヒーローに聞かれてたらどうするんだよ!?!
マジで死んでまう、、
それに聞きつけたファンがいたらまた、、刺される?!
考えれば考える程に溜め息が出てきた、、
楽しそうにケラケラ笑うホークスと身内が黒歴史になりそうでため息をつくテンの様子は会場の中でも一際目立っていた、、
隣でグイグイとエンデヴァーにスマホを見せつけようとホークスが奮闘していた
ジーニストだけが同情してくれた、、
本当にトップヒーローなのか疑いたくなる気持ちを抑えて苦笑いをしておいた
いきなり緑のもじゃ頭が見えたと思ったら
よく見るとその少年は緑谷くんだった
緑谷くんの目がキラキラっと輝き出した
フンス!フンス!と鼻息が出るほどキラキラした目で得意のオタク力を発揮した緑谷くん
ここまでべた褒めされたことない、、
ってか詳しすぎない?!?まだデビューしてから経ってないのに、、
恐るべし、、オタクの緑谷くん、、
ちょっと頬を赤らめて笑いかけると緑谷くんはそれ以上に真っ赤になってまるで茹でダコの様、、
緑谷、、きゃわすぎる!!!いやぁぁぁぁー!!///オタクなとこも可愛い!!
おっと!いけないいけない!そろそろ時間だ!
ギュッ
私は緑谷くんの手を握って小走りしようとしていた
さっきにも増して真っ赤になってしまった、、
やっぱ嫌だったのかな、、?(泣)
ホークスが頬を膨らましながらやって来た
目を細め獲物を見るように緑谷くんを見るホークス、、
ギュッ!!
また、抱きつきやがった、、、、
ホントにこれヤバくね??本当に刺される、、
ほら、緑谷くん変になっちゃった、、
えの数バグってる(笑)
いつの間にか周りにファン達が集まってきて叫び出す人がいた、、
やべぇ、死んだ、、
ホークスはへらっと笑いながら全く離さない、、
こんのぉ!!!鳥め!?マジで蹴るよ!!
ほらほらほらほらぁー!!!?!!
あの人熱烈なホークスファンじゃん!!!?
刺しに来たんだよ!!絶対、、
し、死んだかも(涙)
あ、終わったかもって思い目をつぶった瞬間、、
なんか変な方向に、、
いや、私は私の物じゃね??
てか、めっちゃホークス叫ばれてる(??
何故か真っ赤になって騒ぎ出すお姉さん、、
後、困った顔をしたテンの顔に尊死しかけた人が死ぬ程いたそうです、、
ホークスが笑いかけた
エンジェルとは、、???
全く覚えてない、、やべぇ、、
よし、とにかく感謝伝えればいいか!
『『『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ////!』』』
すると会場にとんでもない悲鳴が響き渡った、、
でっっっか!!声でっか!!!?!
プレゼントマイク越えの声だわ!!
どこからかアンコールの声が聞こえたが、、
その時、、
ピーンポーンパーンポーン、、
"これよりー、ヒーローテン、ホークスの特別グッズ販売致しまーす!お早めにお並びくださーい"
何やらグッズ販売の放送らしい、、
ドタドタドタドタ!!!!
あんなに集まってたファン達は物凄い勢いで物販へ我先にと走り去っていった
緑谷くんが見当たらない、、と思ったら人の雪崩に押し込まれて物販まで行ってしまったようだ、、
マジで疲れた
押しつぶされるかと思った、、恐るべしファン、、
ちょっと離れたところからジーニストさん達が歩いてきた、、
どうやら2人も雪崩に巻き込まれたらしい、、
背中のホークスを指さして泣く泣くお願いすると
ベストジーニストは快く個性ファイバーマスターで引き離してくれた
髪を整えながら引き剥がしたホークスに聞いた
寂しそうな顔でそう呟いたホークスは普通の父親のようだった、、
よほど嬉しかったのか方言が出てる父さん、、
え?私もって?
いや私は図って方言出しましたから!!
この後行った店でホークスが鳥にかぶりついている様子がテン事務所の〇witterに載せられたのはまた別の話
※ちなみにいいねの数エグかった模様
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。