、、、どれくらい時間が経ったんだろ、、
ってかあの後、、どうしたんだっけ、、?
溜息をつき乾いた目を開けると真っ白な天井に鼻を刺すアルコールの匂いがした
少し軋む体を起こしてベットから降りグーと伸びた
何でここにいるんだろ、、
ま、とにかくサイドキック達に連絡取らないと、、
そう思いサイドテーブルに置かれたスマホを取ろうとすると、、
フラッ、、、
真っ直ぐ歩いた筈なのに何故か斜めに引っ張られ目の前には壁、、、 壁、、壁!!!?!
ドガッ!!!
そのまま壁への顔面衝突が起こり私はひっくり返った
無駄に広い病室で1人悲痛な叫びを上げていた、、
おでこ痛すぎて涙出てきたんですが、、涙
ってか何でこんなにフラフラなのよ、、
ガラガラ、、、
その時タイミング良く病室の扉が開き、定期診察に来ていた看護師さんが入ってくる
3秒後、、逆さまにひっくり返っているテンを見た彼女の悲鳴が病院中に響き渡った
私は医師の言った言葉をオウム返しの様に繰り返した
カルテを見ながら淡々と話していく医者
なる、、確かにさっき壁に激突したのはそのせいだね、、
医者は眉間に皺を寄せパソコンを睨みカルテを読んでいた
、、、いやヤバくね??普通に危機!!
インターン後2週間後何だが???
せっかく受け入れ可能事務所認定して貰ったのに、、!!
おかしいな、、神経の狂いは怪我に含まれないのか、、?
死ねないだけで感覚神経の回復は出来ないなんて不便、、
って!!そんな事はどうでも良い!!良くないけど!!
そう言って天使を呼び出し支えてもらおうと慌てて立ち上がった
ドサッ、、!!
見事に膝から崩れ落ちる様に転倒 まともに立てないとか私乳児かな??
ガラガラ、、
涙目でまた床とキス状態になっていたら診察室のドアがゆっくりと開けられた、、
入ってきたのは少しくたびれた相澤先生だった、、
床に転がったテンを見て怪訝な表情を浮かべていたがすぐに起き上がらせてくれた
意外と紳士、、放置しそうなのに←失礼
相澤先生は記者会見後もあって目の下にクマができていた
良い先生何だけど、ホントこの人も苦労人だね、、
本題だと言わんばかりに私をじっと見つめまたため息をついた、、
え、中継、、 あ、アレか、、あの脳無工場の、、!
バツが悪そうに目線を逸らして小声で言うと相澤先生は少し目を見開いて、スマホのネットニュースを目の前に突き出した
あぁ、、、私のせいだ、、
私が殺さなかったからオールマイト、、
平和の象徴として、、No.1ヒーローとしての彼が死んでしまった、、
ギリっと唇を噛んで目を細めた
ダメなんだ、、出来る"限り"じゃ
やり遂げなくちゃ意味が無い
どんな言い訳をしてもこれから世が混乱に陥ってしまうのは目に見えてる、、
誰もオールマイトにはなれない!!
だから、、、
喉まで出かけた苦しい叫びを飲み込んで相澤先生を真っ直ぐ見た
そう、誰も彼に成れない
だけど、、彼もまた私達にはなれない
だから、
静かだけれどはっきりと、、天使はそこに宣言した、、
そんな未来を現実にするのには死ぬ程遠い、壮絶な時間と努力が必要だ、、
しかも実現させられる保証は何処にも無い
しかし天使は言い切った
彼女の目にはっきりとその未来が映し出されていた
ニヤッと挑発するような笑みを浮かべたテンは口に手を当てわざとらしく指をヒラヒラとさせた、、
またもや頭から抜けていた最重要事項を思い出して心の中で絶叫した、、
相澤先生から見たらいきなり真っ青になった変な奴だ
いやいやいや!!!そんな事マジでどうでもいいんだよ!!💢
いや私何にキレてんの!?
ア゙ア゙ア゙!!ダメだ、とにかく事務所戻んなきゃ!!
そう口早に伝えると次はちゃんと"座ったまま"天使を出して抱えてもらい、廊下の窓から飛び降りた
ビュンッ!!
さっきまでフラフラしてたのに、いきなり窓から飛び降りた彼女を見て医者は悲鳴に近い叫びで呼び止めようとした
、、が、既に時遅し、、彼女の背中はもう米粒の様に小さくなっていた
相澤先生の溜息だけが病室の風にに溶け込んだ、、
天使に掴まりながら事務所に向かって爆飛び中!
スマホにえぐい程通知が来てるんだけど、、
見たくね〜という気持ちは無くはないが緊急なのは確かなので そこまで見えてきたバカでかい事務所の空いた窓から転がり込む
ドガッ!!
天使に乱雑に放り投げされた私は受け身をとって床に転がりながらも事務所内に響くくらいの声で叫んだ
ガタンッ!!
持っていたパソコンを躊躇無く手放しサイドキック達は一斉に集まってきた
皆顔面蒼白で中には持っていたマグカップを割ったヤツまでいたそうだ
まだフラフラとしている頭を抑えて苦苦しげに呟いた
サイドキック達は絶句したように驚いた目をしていた
ホント申し訳ない、、迷惑かけちゃった、、
壁を伝いながらデスクのパソコンと書類を引っ張り出し神野の報告書を開く
彼らの方を見向きもせず細く白い指を細やかに素早く動かし文字を打ち込んでいく
彼らは何とも言えない困惑した表情で俯いていた
そんな彼らの声色に気づき、手を止めクルッと彼らの方を振り返ってニカッと笑った
予想外にもニカッと明るく笑うテンを見て少し呆れながらも安心した様でそれぞれデスクに戻って行った
、、嘘、、
本当は頭が刺される様に痛くて 羽がピクリともしなくて 足がフラフラして 目がチカチカして、、
本当は倒れるくらい苦しいし、泣きたいし、休みたいし、投げ出したい!
辛い辛い辛い辛い辛い辛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い
、、苦しい!!!!
でも!!、、
さっきから震えていた指を必死に抑えて唇を噛み笑顔をつくる
笑え、笑っていれば耐えられる
自分を騙せ、辛くない辛くない
そう唱えながら体の鈍痛に耐えた
私の指は痛みに関係なく止まらず報告書に無機質な文字が羅列していった、、
カタカタカタ、、、
恋人達が静かに肩を寄せ合い、子供達は眠く重い瞼を降ろそうとしている夜9:10
事務所に響く静かなタイピング音はただ1つ
この広すぎる室内で 今となっては小山位になった書類囲まれながら
16歳の所長はコーヒー片手に片手高速タイピングを緩めることは無かった、、
テンは事務所で取り扱った過去の事件の中から関係のある情報を抜き取り、調査し
他事務所から取り入れた情報との擦り合わせを行って別件の捜査の為の情報ファイルを作っていた
一応万引き犯や逃走犯くらいの捜査なら特定プログラムで人物特定が出来るんだけど、、
何しろ公安に情報提供しなきゃいけないもので、それはまぁこまかーーーく調べなきゃいけないんだよね、、
(キレてないよ?別に何で面倒臭い事ばっか頼むの、嫌がらせやめろよ!!とか思ってないよ??)
伸びをしながら小山の様に積み終えた提出書類を眺めた
フラッ、、、!!
もう誰もいない事務所なので少し我慢していた弱音が零れた
サイドキック達が居る前では微笑浮かべないといけないから緊張してたけど、、
1人になった途端また不愉快な浮遊感と鈍痛が襲ってきた
ドサ、、
デスクに重い頭を預け心の中の毒を吐き出す様に深く息を吐いた
この地獄、いつまで続くのかな、、
、、ヒーロー続けるならずっとだよな
このままじゃ社会が変わるのが先か、
私が過労死するのが先か、分からんよ
冷たくなったコーヒーを流し込み、インターンの募集名簿を雄英へ送るエンターキーを押した所で私の意識はブラックアウトした
病院を出てから約2週間、、1日も休まず仕事を続けた
痛みは尋常じゃなかったけど馬車馬のように働いて誤魔化した
徹夜続きでほんのりハイになりながら外の晴天に向かって笑った
今日から始まるヒーローインターンの最終確認をしていたサイドキックが今にも踊り出しそうなテンションのテンを見た
時計の針は丁度8:00を指しており、後30分程で雄英からのインターン生が来る
最近の若い子凄いからな〜とすっかりおっさん気分で遠い目をしているサイドキック
アンタ、20代だろ (後半だけど)
私の事を生意気だと気に入らない人も一定数いるだろう
自分より年下の人間に教えを乞うたり、指示に従うのは癪だというプライドの高い人は意外と多い
本気でヒーロー目指してんなら手段を選んでちゃダメだと思うんだけど、、
なんでも無い顔でそう笑い飛ばした
聞いたのアンタらでしょ、、とツッコミながら欠伸をする
さて、駅まで迎えに行ってそのままパトロール行くかー
窓から飛び出し未来のヒーローの卵達を迎えに行った
𝙸𝙽 東京駅、、
インターンがある為か、駅内も駅前もヒーロー科の学生で溢れかえっていた
今回のインターンは雄英高校生徒だけとはいえ、公安からの要請でもある為希望制にしてある
なので1〜3年までインターン先が決まってない人でも来れる
つまり!!私の仕事が格段に増えるって事!☆
最初はビルボードチャートにも出た事ない未成年ヒーローなんて来る人少ないでしょ
とか思っていたんだけども、、
全国で仕事捌いてたら知名度も信頼度も上がってしまったようで何と応募数約100人!
100、、、は流石に無理だったから20まで絞ったけども、、え?減らしすぎ?ふふっ、なんか言った????
そんな愚痴を心の中で盛大にぶち撒けながら歩いていると駅の隅の方に20人ほどの学生グループを見つけた
今回は 3年×3 2年×9 1年×8
入学して初のインターンである1年生は当たり前だが、2年生が1番多いのは指名を貰ったもののインターンまでに興味を無くされたかで受け入れ拒否された人が多いからだろう
3年は、、、かなりまずいかな、、
先輩もいる為一応敬語だけど、2年生からは何だかあまり歓迎されてる感じじゃない、、よね?
いやー、でも1、3年生は良いね!Plus ultra!!って感じ笑!!
いつもの様に天使の様な優しい笑みを貼り付け笑いかけた
指で弧を描くとあっという間に天使の輪が生徒達の頭の上に浮かび上がり荷物はテンの羽達が軽々と持ち上げている
そう言って指を再びクルッと回すと
天使の輪を着けた生徒たちは一気に浮かび上がり事務所の方まで飛ばされて言った
あんまりスピード出すわけにいかないから調節しないとなー、なんて考えていたらさっきの騒ぎのせいか、私の周りにはザワザワと人が集まってきた
マズイ、と思った時には既に時遅し
あっという間にファンで退路を埋め尽くされた
しょうがない、さっさと答えて帰ろ、、
ファンの中には女性も多く『え〜、かっこいいと可愛いのカーニバルー!!』なんて叫んでる人もいた
今でこそ受け答え出来るようになったがそもそも顔面への自信喪失しているため凄くお世辞を言われてると思っているテン
ふわりと天使の様な笑顔で笑うと誰もが口元が緩んでしまう
テンの人気な理由はこの笑顔にもある
ファンサはホークスに似かよったものだが、彼のような軽薄、飄々とした雰囲気では無く純粋で女神のように全てを肯定する笑顔が皆の心を掴んで離さない
それに加え小さな褒めも忘れず、礼儀正しい態度が高い人気を誇っている
めちゃくちゃ作り笑顔だけどね
バサッ!!!!!
天使はそれだけ伝えると笑顔で舞い上がりそこには数枚の羽が残されていただけだった、、
彼女は人々から"戦場の天使"と呼ばれている、、
夕方、、6時
𝙸𝙽テン事務所
インターン生は一日中走り回って既にヘトヘトになっていた為、先に上がらせて正解だな、、
お疲れ様ですーと皆を部屋まで案内して、ブラックのコーヒーを事務所前の自販機で買った
いや、有り得ない、インターンの時期に東京なんて
きっと私の幻覚だ、、、幻覚だろう、、、幻覚だといいな、、
ホークスはケラケラと笑い隣のゲロ甘いコーヒーのボタンを押した
カシュッと音を立ててゲロ甘いコーヒー、略してゲロを飲み始める
マジで罰ゲームとかじゃなく普通に飲むのでちょっと引く、、
漂って来た糖度の高いコーヒーの匂いをしっし、と払って顔を歪めた
失礼な、これは眠気が吹っ飛ばせる最強の飲み物なのだ!!!
エナジードリンクの数倍は効くので最近愛用してる
カフェインがぶわぁぁぁって感じで(語彙力クソ)素晴らしいよ、うん、凄い
何だよ、その反応、、
ていうか貴方も大概でしょ、お互い劇物飲んでんだから、、
するとホークスから少し離れた所に常闇君が唖然として立っていた
暗いから完全に闇と同化してた、、
テン事務所は全国展開だからね、全国のヒーロー事務所のチームアップ関係くらいは分かるんだよね
ね、ペーパレスじゃないとやっていけない理由分かったでしょ?
スンとした笑顔で激苦コーヒーをすすった
うん、!今日も安定においしい!(激苦)
ちょっと待て、チームアップって事前連絡は基本だよね???
現地でよろしく〜なんて軽々しいもんじゃ無いんですけど??
うん、ホントに聞き直そう
グシャッ!!!!
その瞬間手に持ってた空のコーヒー缶を思いっきり潰してしまった
ふぅぅぅぅ、、、
とにかく落ち着こう、心平穏に、、
でも、しょうが無い来ちゃったんだから、、
チームアップの要請を優先しなきゃ
はぁ、、犠牲になった缶をゴミ箱に投げ入れてため息をついた
常闇くんが心配そうに私を見てきた
あー、モテるわこの子、、
凄いモテるんだろーな、、
ガチャ、、
オフィスのドアを開けるとそこには1人のサイドキックが待ち構えていた
サイドキックは青筋を立てながら迫真な顔でそう迫ってきた
怖いよ、、?誰に似たんだか、、
ドサッ、、
サイドキックが手刀で眠らせ、、いや、気絶させ事務所の端のソファーまで運んだ
いや、もっと優しく眠らせてよ??
手刀って全く、誰に似たんだか(Part2)
サイドキックがツクヨミの手を取りブンブンと握手をしてキラキラとした目を向けていた
ホークスが驚くのも無理は無い、
まずテンは未成年であるということ、
そして事務所が創立1年未満である事、
更には事務員はサイドキック合わせ5人しかいない事、、
どれを見ても異例の事務所なのだ
端の方で眠っているテンを見て溜息を着いた
自分より年下の子供にこんな過重労働を課すのは辛いことなんだろう、、
はい、と鍵を渡してエレベーターのボタンを押した
バタン、、!!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。