前の話
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> 私は、日陰の人間だ。
> もし生まれ変われるなら、亀とか、うさぎとか、何なら道端の雑草がよかった。
> 「もっと声を出しなさい」
> 「みんなと仲良くしなさい」
> 中学の時、何度も言われた。
> 私だって、私なりに努力はしている。
> でも、私の声はいつも、教室の真ん中で笑う誰かの声にかき消されて、誰の耳にも届かない。
> 謝りたかったのに声が出なくて、ただ俯くことしかできなかったあの日の後悔が、今もずっと胸の奥にトゲみたいに刺さっている。
> だから、高校に入ってからは頑張ろうとした。
> 教室の隅っこ、光の当たらない日陰の席。
> ここに潜んで、空気みたいに生きていければ、もう傷つくこともない。
> ずっと、そのままでいいはずだった。
> ──あの、まぶしすぎる太陽みたいな先輩に、出会ってしまうまでは。
>











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。