第4話

第2話 奈落 - 三人目 禁忌の探求者
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2026/02/18 04:44 更新
深澤は咳き込みながら体を起こす
深澤辰哉
…照、生きてる?
岩本照
…ああ。
短い返事。だが、それだけで十分だった。

目の前の魔物は、まだこちらを見下ろしている。
傷はほとんど入っていない。

二人とも、もう立てない。
深澤辰哉
詰みだな、これ

深澤が笑う。

その時だった。

魔物の横腹が、突然“爆ぜた”。

「ぐぉぉぅうぅおぉぉぉ!!」

轟音とともに、肉片が飛び散る。

魔物が咆哮を上げ、後退する。

岩本と深澤は同時に顔を上げた。

遠くの岩場。

そこに、人影が立っている。

手をかざし、何かを唱えている。

次の瞬間、あたりは霧に包まれた。
深澤辰哉
……え?


深澤が間の抜けた声を出す。

ありえない威力だった。

人族の魔法じゃない。

その人影が、こちらへ駆け寄ってくる。

息を切らし、眼鏡をずらしながら。
阿部亮平
……間に合った


岩本は目を見開いた。

この顔も、覚えている。

理屈っぽくて、いつも本を読んでいた少年。
深澤辰哉
…阿部ちゃんじゃん!?
岩本照
…阿部
阿部亮平
久しぶり。照、ふっか


阿部は苦笑しながら、倒れた二人を見る。

そして魔物へ視線を向け、真顔になった。
阿部亮平
まずい。あれ、推定Lv6500はある
深澤辰哉
分かるの?
阿部亮平
本で読んだことある、あと…
阿部亮平
さっき観察してたから


さらっと言う。

岩本と深澤は顔を見合わせた。

こいつ、奈落で観察なんてしてたのか。

魔物が再び立ち上がる。

阿部が素早く詠唱する。

地面がひび割れ、魔物の足元が崩れる。
阿部亮平
早くしないと、また襲ってくる!
阿部亮平
今のうちに逃げるよ!ここはまずい!


岩本は深澤を担ぎ上げる。

三人で、必死に走る。

背後で魔物の咆哮が響く。

追ってきている。

深澤辰哉
追いかけてくんの早…
岩本照
言ってる場合か
阿部亮平
ほんと、なんで生きてんだよ。2人とも!
岩本照
こっちのセリフだ!
深澤辰哉
こっちのセリフ!
阿部亮平
2人ともこっち!!


岩場を抜け、崖の影に滑り込む。

しばらくして、足音が遠ざかっていった。


静寂の中

三人の荒い呼吸だけが響く。

阿部がその場に座り込む。

阿部亮平
まさか、人に会うと思わなかった。しかも同郷

深澤が笑う。
深澤辰哉
役立たず三人、奈落で再会か

軽く笑って阿部は答える
阿部亮平
最悪だよ笑


岩本は息を整えながら呟いた。
岩本照
……まだ、終わってないらしいな
三人は顔を見合わせる。

希望なんて、ない。

でも

一人じゃなくなった。

それだけで、少しだけ呼吸が楽になった。

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