俺は桜が大っ嫌いだけど、大好きなんだ、
話は変わるけど、俺には誰にも信じて貰えないだろうし、言っていない事がある。
それは"前世の記憶"があること。
こんなとこ人に言ったとこで笑われる、引かれる、気持ち悪がれる、挙句の果てにはワンチャン虐められて、避けられるんだろう、
だから絶対に言わない。
前世の内容ははっきりと嫌なほど覚えている。
あの恐怖
あの空腹感
あの虚しさ
あの時代の世の中への怒り、悲しみ、憎しみ、
あの寂しさ、
とにかく挙げたらキリがないだろう、
俺は日の丸の国旗を背負っている者なら誰でもわかる、あの神社の桜になるはずだったッ
あの桜になる為にお国の、祖国の為に、天皇陛下の為に潔く散って行ったんだ。
でもな、あんな時代だったけど、良い出会いはあったんだッ
俺には頼りになってた仲間がいたんだ
そして、あの桜と同じ綺麗な桜色の瞳と前髪を持ったお前に、__になって欲しかった
お前だけじゃない、あいつらにも、あの人達にもッ
でも、無理だったッ
叶わなかった、
天皇陛下が神ならッ叶えてくれても良かったんじゃないかッ
だから最期に言ったんだ皆で。特にお前にはッ
来世は絶対__になろうって、また、会おうってッ
だから俺はこの時代で俺らが守ったこの国で、また、あいつを、あいつらを探す_______
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。