【 あなたside 】
あれから、千空に申し出て休暇を取得した.
医師がいないという不測の事態ではあったが
1月ほどと、短めに申請をした.
千空とメンタリストは、そのことについては
寛容だったのだが、周りは納得のいかないよう.
すごく、私のことを蔑んだ目で見ていた.
そんな人目も、今の私にはとても
耐え難いものだった.
そんな心配を胸に、木の上に横になる.
これから、冬になる為、風が冷たく
なり始めてきた.冷たい風に煽られながらも
薄く淡く、物事を考える.
七海財閥での出来事、科学王国での噂.
これらが歪に混ざり合い、複雑になり、
私の心にキツく締め付けられている.
この呪縛は、いつになったら解けるのだろうか.
そんなこと、誰にも分からなかった.
いや、分かることができなかった.
そこから、ここ数ヶ月の疲れが
一気にやってきたのか、睡魔が私を
襲い、気がついたら意識を手放していた.
誕生日パーティーが終わり、私は部屋に
戻って荷物を持ってこっそりと廊下へ出る.
みんなが寝静まり、コツコツという
ローファーの音だけが、廊下中に鳴り響く.
そして、両端に2つある部屋の前にたった.
でも、私は扉を“ 開けなかった “.
開けたら、だめな気がした.
弟達の寝息を聞き、安心する.
これが最後の寝息だと思うと、とてもつらい.
でも______.
“ 行かなきゃ “.
そう、体が合図を示していた.
自分の気持ちを奮い立たせて、また
廊下中に鳴り響く足音で、その場を去る.
いいんだ、これで.これで、いいんだ.
そう自分に言い聞かせて、歩みをすすめる.
持っていた荷物の持ち手から、
手の震えが伝わってくる.
全身の感覚を感じながら、
と、わたしは、誰かに聞こえるかすらも
分からない、小さなつぶやきだけを残して
この、七海財閥から姿を消した.
その時、私は一気に飛び上がって起床した.
変な時間だった.夕方の17時半ほどだろうか.
先程は、変な夢を見た.
それはまさに、過去の夢.
“ あの時は、正しいと思っていた “.
弟達の名前は、呼ばなかった.
いや、“ 呼べなかった “.
という方が辻褄が合うだろう.
グーッとお腹から鳴った合図を聞き、
そう呟き、木の上から降りる.
夕方の夕陽は、飽和するほどに、
日常的に感じていた.
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。