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第10話

お友達から始めませんか
362
2019/03/26 06:34
You💕
さ、佐藤先輩って、いますか
『2年3組』という美羽からの情報をもとに、緊張しながら3組を訪れた。


話を聞いてくれた男子の先輩は、
先輩
あぁうん、いるよー
と爽やかに答えてくれた。
先輩
おい、カンター。
お客さん
カンタって呼ばれてるんだ。


教室の端の方にいた佐藤先輩は、ドアの近くにいる私わ見て、眉を寄せた。


そして、何も言わずにこっちに来る。


……怒ってる……のかな。


やっぱり今朝のは、失礼すぎた?


不安になりながら、先輩を見つめる。


今朝見たばかりのその綺麗な顔で、先輩は私の前に立った。
カンタ
……ここじゃ話しにくいから、場所変えていい?
You💕
えっ、あ、もちろん!
そりゃそうだ。


私みたいな女子力底辺野郎に先輩がフラれたなんて周りに知られたら、大変なことになる。


先輩についていって、たどり着いたのは人気の少ない階段の踊り場だった。


先輩は私に向き直ると、あくまで無表情に、
カンタ
あのさ
と言った。
カンタ
今朝のことは、忘れて
……え。


頭から冷たいものを浴びさせられたみたいに、フッと体温が下がった。


思わず俯いた私に、先輩は焦ったような顔をする。
カンタ
いや、えっと……キミも、迷惑だったでしょ。
いきなり初対面のやつからあんなこと言われて
You💕
…………そんな、こと
そりゃ驚きはしたけど。


迷惑とな、そんなの…………ありえないのに。
カンタ
僕も、勢いで言っちゃっただけだから。
ごめん、困らせて。…………忘れて
その声色は、なんだか寂しそうで。


私は、先輩を傷つけちゃったんだな、って思った。
You💕
迷惑じゃ、ないです。
ビックリしちゃった、だけです
まるで言い訳だ。


私は『ごめんなさい』を言いにきたのに。


先輩は『そっか』と言って、目をふせた。
カンタ
…………けど、もういいよ。
結局、僕はフラれたわけでしょ?
だから…………
You💕
あ、あの!!
バッと顔を上げて、私は先輩を見た。


そして、自分でも予想していなかったことを口走る。
You💕
お、『お友達』から始めませんか!!
えっ。


今……私、なにを。


当然、先輩はポカンとしている。


ええっ、だって、だって。


先輩は高嶺の花すぎるから、すぐにお付き合いは無理だけど。


痴漢撃退しちゃうような、素敵な人だし。


この人を逃すのは惜しいってすずも言ってたし!


純粋に友達になりたいって思っちゃったんだもん!
カンタ
…………な、なんで?
You💕
え、ええっと、せ、先輩のようなイケメンさんと知り合えることなんて、私の人生で二度とないかなって…………!
うわあああ!


我ながら最低だ!


不純!


動機が不純すぎる!


正直に言いすぎだー!!

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