声のした方を、条件反射で振り向く。
すると!
廊下の先に、何とジンペイがいた!
感極まった声を出しながら、潤んだ目でジンペイを見つめるエマだが、何と救世主である筈のジンペイは最悪のタイミングでつまずき、転んでしまった!
そしてゴロゴロと転がって、エマの前を通り過ぎていく。
今度は、腕が反対側に傾く。
エマは窓の淵に何とかしがみつき耐えるが、ジンペイはなおもゴロゴロと転がっている。
だが何とかエマの膝に掴まり、そこからエマの手を両手でガシッと掴んだ。
マタロウがモニター越しにツッコむ。
だが、この際そんな事どうだっていい。エマは勢いよく頷いた。
窓の淵に掴まるエマ、そのエマの腕にぶら下がるジンペイ。
側から見れば限りなく危ない体制だ。
年上とは言え、女子に男子の全体重を預けるのは流石に無理があり……と、ついにエマの限界が来てしまった!
エマはとうとう手を離してしまい、2人は真っ逆さまに落ちていってしまった。
辿り着いたのは、何だかよく分からない場所である。
そうとしか言いようがないのだ、本当に。
無傷とは言えないけれど、2人──そしてウー助は無事だ。
イヤーチップからあなたの声が。
ジンペイは、近くの通風口に視線を向けると、エマの肩をガシッと掴んだ。
ジンペイはそうハッキリと言い切ってから、ウー助を頭に乗せてエマをお姫様抱っこすると……。
あのコウモンへと向かって、スタートダッシュを切った!!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。