教室に入り、私はいつものようにハーマイオニーたちと前の方の席に座って先生を待っていた
すると、後ろの扉がバンッと開く
ドラコとクラッブ、ゴイルは、いつもの調子で一番後ろの席に座っていた
しばらくすると、マクゴナガル先生がスタスタと教室に入ってきた
教室が一気にざわついた
ブーイング、ため息、文句の嵐が飛び交う
私も内心かなり不満だった
しかしマクゴナガル先生は厳しい顔で無視し、無作為に名前を読み上げて席を指定していった
そして運命の瞬間__
ハーマイオニー、ロン、ハリーは見事に散らされ、
私はひとり、教室のど真ん中あたりの席に誘導された
さらに最悪なことが起こった
私の後ろにはどこか見覚えのあるプラチナブロンドの彼
一応、確認で振り返ってみる
__案の定そこに居たのはドラコだった
彼の取り巻きたちは違う所に飛ばされてしまったらしく、ドラコだけが私の真後ろ
ほんっとに最悪……!!
座ったばかりの私の椅子に、突然__
ガンッ
と衝撃が走る
なんだかとても腹が立ったので、無視をすることにした
しかし、その数秒後__
再びガンッと椅子を蹴られた
小さな声で振り返った瞬間__
ふわりと高級感のある香りが鼻をかすめた
こちらを真っ直ぐに見つめる彼の瞳は、美しいアイスブルーの色をしている
柔らかく下りた髪が、風になびいて揺れる
ち、近い……!
そんな中、ドラコはすぐに口を開いた
……嫌味
うん、やっぱり嫌味
椅子を蹴ってまで言うことじゃない
カチンと来た私は、黙って前を向き、完全に無視することにした
すると数秒後__
ガンッ
……また!?
無視
突然、前からマクゴナガル先生の声が飛んできた
慌てて返事をすると先生が眉を上げる
………いつ呼ばれてた?
一瞬固まったその時、背後からぼそりとドラコの声が聞こえた
最後に蹴ったのは、私が名前を呼ばれてるのに気づいてなかったからってこと?
ただのイタズラだと思ってた……
顔が熱くなるのを感じながら、私はテスト結果を取りに前へ進んだ
私はマクゴナガル先生からテスト結果を受け取って席へ戻った
…はぁぁぁ……ほんと恥ずかしい……
椅子に座って、こっそりテスト結果をめくる
これ……結構いい点数だ!!
口元が自然にニヤけそうになるのを慌てて手で隠す
これはちょっと嬉しい
その時、先生はドラコの名前を呼んだ
私が紙をクルクルと丸めている間に、ドラコもテスト結果を受け取った
案の定、満足げにうっすらと笑っている
……どうせ高い点数なんだろうけど、私は言いたくない!絶対言わない!!
そう心の中で決めて、テストをそっと隠した瞬間だった
ドサッ
ドラコが私の机に腰をかけてきた
突然の近さに驚いて、テスト用紙をヒラヒラと落としてしまう
慌てて拾おうとすると、ひょいっと__
ドラコが先に拾い上げた
……最悪っ!
ドラコは紙を見ながら、ゆっくりと口角を上げる
完全な嘲笑だ
言い返すと、
ドラコはテスト用紙を軽く振りながら、当然のように言った
こればかりは素直に悔しい……
ふふん、どうだ。なんて言いたげな表情を見せる彼はどこか楽しそうに見えた
私の悔しがる顔を見て、ドラコはニヤッと意地悪く笑った
その時、マクゴナガル先生が短く手を叩いた
ざわざわと教室が色めき立つ
私は隣に座る生徒をちらりと見た
コナー・アッシュリッジ
グリフィンドールのクィディッチ選手で、ハリーと肩を並べるほどの実力だとか
明るくて、よく笑う、誰にでも人気のあるタイプ
そのコナーが、柔らかく微笑んで手を差し出した
その満面の笑みに少し戸惑いつつ、ゆっくりと手を差し出した
握手した瞬間__
ガンッ‼
椅子の脚に衝撃が走った
……また、マルフォイ!?
振り返るとやっぱりドラコだった
頬杖をついたまま、明らかに不服そうな顔でこちらを睨んでいる
あのドラコの事だ
嫌味なドラコのいつもの事。
深く考えずに、再びコナーに向き直った
さぁ手を引っ込めよう___と思ったのに
……コナーが、手を離さない。
ギュッと、指先に力を込めてきた
私の戸惑いとは裏腹に彼はニコニコしたまま私を見つめていた
な、ななな、何言ってんのこの人……!?
突然の直球にどう反応すればいいか分からない
すると__
ドンッ…と、また椅子が揺れる
……また?いや、ほんと何??
さっきより静かな音だったけど、
逆にその方が怖い
ドラコの表情は見えない
でも、背中に突き刺さるような視線だけが妙にわかる
考えても意味が分からない
コナーはそんなことお構いなしに言った
コナーはまだ私の手を離していなかったが、
ギュッと強く握ったあと、ゆっくりと指をほどいた
それでも、目はまっすぐ私に向けられたまま
声が震えてしまう
コナーはその反応に満足したように、ふっと笑った
ち…違う!!照れてるんじゃなくて混乱してるの!!
コナーは授業中だというのに全然気にしていない
周りの視線も、ドラコの存在も、一切無視している
彼の声は低くて、近い
ずっと……?もう、何この人…
私は限界を感じて、
つい“あの嫌味男”の方に助けを求めるように振り返った
だって__最悪なことが起きたときは、なんだかんだでドラコはいつも絡んできてくれる
嫌味でも、突っかかってでも
とりあえず空気を変えてくれる
……のに。
ドラコは、どこか離れた一点を見つめていた
どこか不満そうな顔をしながら、こちらを見る気配はまるでない
頼みの綱が途切れたような気がして、胸がぎゅっとなる
その間にもコナーはどんどん距離を縮めてくる
机の方に身を乗り出し、私の肩のあたりへ視線を落とした
距離も言葉も、甘すぎる
私は反射的に身を引いてしまった
近い!近い近い近い!!
なんでこんな近づいてくるの!?
どうしていいか全然わかんない!
頭が真っ白になって、
ただその場から逃げたい気持ちだけが膨らんでいく
でも後ろには__
助けてくれるはずのドラコが、
どうしようもなく不機嫌な横顔で座っている
私はコナーのまっすぐすぎる眼差しと、
ドラコのそっぽ向いた横顔の間で揺さぶられる














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。