サムサンテックのメンバーは、開発者3人だけを連れ
て行くという通告と、視覚障害者用アプリ“視線”の
維持を条件も確信できないという事実にショックを
受けた。
イングクは契約を覆すと反論したが、60億という違
約金がかかっており、彼らのメンターであるジピョ
ンはこれ以上こじれたら危険だと思って訪ねて行っ
た。
現実を受け入れろという冷たい忠告をしたジピョン
は、今回のM&Aに至った理由がただ技術のためだけ
だという胸の痛む事実まで指摘した。
傷ついたユキノを見たイングクは腹を立てた。
このまま“視線”をあきらめきれないイングクはジピ
ョンに祖母が近いうちに失明するという事実を告
げ、助けを求めた。
これまでジピョンが“視線”に対して放ってきた毒舌
は、自分に返ってきた。
ジピョンは、いまだに“スンディン”と呼んで撫でて
くれる祖母を見ては悲しんで涙を流した。
「君を初めて見た時、漠然とした夢がとても鮮やか
になった」
というイングクの言葉のように、野球ボールに書か
れた「FOLLOW YOUR DREAM」の中の夢とは、
ユキノそのものだった。
しかしその夢は自分ではないという否定と共に野球
ボールを再びイングクの手に渡したユキノは
「私たち、何歳だと思ってるの?いつまでも夢ばか
り追いかけてはいられないわ」
と背を向けて必死に涙をこらえた。
イングクの誕生日だったこの日、二人にとって忘れ
られない別れの傷を残すことになった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。