-in ファミレス
和雨は感情が篭っていない表情で言った。
僕の肩は少し跳ねた。
まさか、死へのお誘いが来るとは思わなかった。
怖くなった僕はそう聞いた。
和雨はそのまま視線を下にずらす。
懐かしむように、一言ずつ吐いていく。
和雨の瞳は、どこか寂しさを含んでいた。
それが生きて一緒にいよう、という意味でないことはわかっていた。
和雨の寂しさを僕が埋め切ることはできない。
逆に和雨も僕の寂しさを埋められやしない。
親が厳しい、なんなら毒親だということは共通点だった。
いつも死にたいと思っていた。
死んだ方がマシだった。
でも弟を置いて逝くことはできない。
そんな時に和雨と出会った。
和雨は僕の心の支えで、居場所だった。
そんな和雨が今死のうとしているなんて。
和雨の母親は精神病を患っていたのもあって、和雨に当たっていたそう。
それのせいでか和雨はたまに僕の顔色を伺うような素振りを見せる。
僕は散々「死にたい」と口にしていた。今更死にたくない、生きたいなんて言う権利はない。
煩悶する僕に和雨は言った。
違う。依存してたのは僕の方だ。
喧嘩しても和雨に縋りついて離れなかった。
和雨の愛が重いこともわかっていた。
僕はその愛に、優しさに甘えていた。
だからってそれは死ぬ理由にはならないじゃん、おかしいよ。
じっと僕を見つめる瞳の奥には、闇以外にも一筋の光が見える。
それがきっと死なのだ。
死ぬことで和雨は救われたがっている。
和雨が幸せなら僕はそれで良いのかもしれない。
そんな気がしてきた。
震える声を絞り出した。
本当は死にたくなんてない。
だけど僕は和雨について行こうとした。
メンヘラがメンヘラを愛すとこうなる。
愛してしまった結果がこれなのだ。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。