綺麗な女性だ。
その隣には…一文字則宗がいる。
口元は笑みを浮かべているけど、
クリーム色の髪に隠されていない右眼は、
吟味するようにわたしを見つめていた。
女性の手には、あの小さくて汚れた鍵があった。
あの時廊下で拾った鍵。
なんの鍵かずっと分からないので、最近は
調べるのが停滞していた。
でもなんだかお守りみたいで、いつも持ち歩い
てはいるんだよね…
いつの間にか落ちちゃってたんだ。
笑顔で鍵を手渡してくる女性。
その鍵を受け取った時、鍵と同時に、
1枚の折りたたまれた紙も手渡された。
…なんだこれ?
ずっと黙ったままだった彼が、口を開いた。
わたしが尚も問いかけようとすると、彼は
立てた人差し指をそっと唇に当てる。
…まるで、内緒、とでも言ってるみたい。
そしてわたしに向かって少し微笑むと、
女性の肩を叩き、すいっと歩き出す。
待ってよ、と護衛の後を追いかける女性に
軽くお辞儀をする。
鍵をポケットにしまい、紙切れをそっと摘んだ。
故意的に渡された、んだよね…?
一体中身は何が書かれてるんだろう…
加州さんの声が前方から聞こえた。
焦ったような顔が、わたしの元まで走り
たどり着くと、安堵の表情になった。
わたしはそっと、紙切れをポケットに
滑り込ませた。
主、怪我とかしてない?って心配そうに
聞いてくる加州さんに、笑顔を向ける。
大丈夫だよ、と返すと、よかった!
と、手を握り直された。
転移ゲートを使い、本丸へと戻った。
いやちょっと待て、わたしを挟んで
冷戦しないで!!!
みんな仲良し粟田口でしょうがぁ…
【続く】











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。