第36話

参拾参¦不思議な出会い
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2026/02/16 13:17 更新





あなた
 …はい?    
 審神者
 急にごめんなさい!
 これ、落としましたか?


  綺麗な女性だ。
  その隣には…一文字則宗がいる。
  口元は笑みを浮かべているけど、
  クリーム色の髪に隠されていない右眼は、
  吟味するようにわたしを見つめていた。
  女性の手には、あの小さくて汚れた鍵があった。


あなた
 あ! これ、わたしの…!    


  あの時廊下で拾った鍵。
  なんの鍵かずっと分からないので、最近は
  調べるのが停滞していた。
  でもなんだかお守りみたいで、いつも持ち歩い
  てはいるんだよね…
  いつの間にか落ちちゃってたんだ。


あなた
 拾ってくださり、
 ありがとうございます!!
 審神者
 いえいえ、落とすところを見たので    
 無事届けられてよかったです!


  笑顔で鍵を手渡してくる女性。
  その鍵を受け取った時、鍵と同時に、
  1枚の折りたたまれた紙も手渡された。
 …なんだこれ?


あなた
 …あの、これ    
 一文字則宗
 きっと、役に立つだろう    
あなた
 ……え?    


  ずっと黙ったままだった彼が、口を開いた。
  わたしが尚も問いかけようとすると、彼は
  立てた人差し指をそっと唇に当てる。
  …まるで、内緒、とでも言ってるみたい。
  そしてわたしに向かって少し微笑むと、
  女性の肩を叩き、すいっと歩き出す。


 一文字則宗
 さぁ帰ろう。じじいは疲れたぞ    
 審神者
 は、え、ちょっと、まだ私の
 買い物終わってないんですけど!
 審神者
 じゃあ、私たちはこれで!    
 また!


  待ってよ、と護衛の後を追いかける女性に
  軽くお辞儀をする。
  鍵をポケットにしまい、紙切れをそっと摘んだ。
  故意的に渡された、んだよね…?
  一体中身は何が書かれてるんだろう…


 加州清光
 主っ!!!!    


  加州さんの声が前方から聞こえた。
  焦ったような顔が、わたしの元まで走り
  たどり着くと、安堵の表情になった。
  わたしはそっと、紙切れをポケットに
  滑り込ませた。


 加州清光
 急にいなくなっちゃうんだもん    
 ほんと焦った…
あなた
 ごめんね    
 加州清光
 あの風、なんだったんだろ    


  主、怪我とかしてない?って心配そうに
  聞いてくる加州さんに、笑顔を向ける。
  大丈夫だよ、と返すと、よかった!
  と、手を握り直された。


 加州清光
 じゃあそろそろ帰ろっか。
 遅いとあの人うるさいし
あなた
 長谷部さん?    
 加州清光
 そ!    


  転移ゲートを使い、本丸へと戻った。






 秋田藤四郎
 主君。かるた遊びをしませんか!    
 五虎退
 …ぼくはその、あるじさまと折り紙が    
 したいです…!
 秋田藤四郎
 …    
 五虎退
 …    

  いやちょっと待て、わたしを挟んで
  冷戦しないで!!!
  みんな仲良し粟田口でしょうがぁ…


   【続く】





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