なんやかんやで全員分の自己紹介を聞かされた。
ナムジュンさんが私に視線を向ける。
っていうか、
なにそれ。そんなの脅迫だ。
でもこの場の雰囲気から、自己紹介ぐらいはしないと帰れそうにない。
突っかかってくるキムテヒョンを一瞥して、続ける。
それを聞いた彼らはニヤリ。
ただただ楽しそうに口角をあげた。
1度言葉を切り、彼も私を見据える。
ゴクリ、とバレないように息を飲む。
その決まりがあるから髪色を帰ろと?
現生徒会メンバーであるあなた達が黒髪だから?
ハッとして口を噤む。
怒りに任せてつらつらと言葉を述べたけど、ここでそれを口にするのは得策ではないのに。
チラリと全員の顔色を伺う。
怒っているのかと思えば、みんなポカンとした表情を浮かべていた。
あぁ、そうか。反論されることに慣れていないんだ。
"当たり前"だと思っているんだ。
自分の言うことを他人が聞くことを。
微妙な静寂の中、そんなふうに1人納得する。
それよりも、次に発せられる言葉が怖いわね・・・。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!