━━━━━━━不本意な立ち位置
気分の悪さをかき消そうと、冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを一気に身体へと流し込んだ。
どうしても、イライラが消えない。
昨日気づくべきだった。
私が生徒会室に呼ばれたのは、黒髪が理由だったから。
それなのに、出身校を聞いただけで彼らは私を解放した。
帰り際に"直して来い"とも言われずに。
会長と同じ髪色にできるのはその恋人だけだと知っていれば。そしてその恋人=副会長だと知っていれば。
彼らの行動の矛盾に気づけなかった自分にも非はあるけれど・・・。こんなめんどくさいルールがあるならここなんて選ばなかったのに。
ただ、唯一の救いといえば、手を出されずに済むということだ。
一応貞操は護られる。
望まない方へ、イヤな方へとことが段々と過ぎていく。
ふと、留守番電話を見ると、メッセージを知らせるランプがチカチカと点滅していた?
何もかも解決しないまま、体の中でぐるぐると渦を巻いているもどかしさをどうすることも出来ないまま、ソファーに身体を預けた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!