第16話

その声に救われた
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2024/07/13 06:38 更新
〜ひなside〜





私の家はおかしかった。





いつから、なんて覚えてない。



気づいたときにはお父さんはいなかったし、

気づいたときにはおかしな場所に行かされていた。


そのおかしな違和感が確信に変わったのは、小学校に上がってからだった。




私は幼稚園にも保育園にも入っていなかったから、
小学校が初めて同年代の子に会える場所だった。



でも、私は最初からおかしかった。



全校集会のときは何かしらの理由をつけられ保健室につれてかれる。

音楽の時間は先生に呼び出される。

子供は大人が思うよりも空気を読める。

私はすぐにいじめられっ子になった。




ひな
お母さん、クリスマス会に行きたい!


「駄目よ!!!何を言ってるの!!?」





ひな
お母さん、最近流行ってる曲があるんだって!


「なんて穢らわしい!!すぐに辞めなさい!!」
ひな
お母さん…遊びに行ってもいい?
「何を言ってるの?駄目に決まってるでしょ?」





ひな
お母さん…遠足で美術館に、、、。
「そんな物見てはいけません!!!」








そんな金切り声の否定の後、お母さんは決まってこう言った。





「さぁ、お祈りしましょう。」
















大人は私を腫れ物のように扱う。




ビクビクとなにかに怯え、私に媚びへつらうような笑みを浮かべながら
「なにがしたい?」と聞く。





そんなの、他の子供達は許すはずがない。








でも、誰も何も言わない。





痣だらけになっても。




水をかけられても。





給食を投げ捨てられても。






お母さんが見てるのは「かみさま」だけ。



大人が見てるのは自分の体裁と安全だけ。




私の心は壊れていった。



そんなある日のことだった。








あなたに出会ったのは。





最初は策略しかなかった。




あなたは、虐待を受けていたらしく、親が捕まって施設に入っているらしい。



そんな事を聞いて、単にクラス内の地位を上げられるかもしれないと思った。




この子に優しくしていたら大人たちも見直すかもしれない。


ひな
はじめまして、貴方があなた?
あなた
(コクン)


あなたは何を考えているのかわからない子だった。





大人たちはそれを言いように解釈していた。




「心が壊れてしまったんだろう」



「虐待に疲れてしまったんだろう」





でも、、、、違ったんだ。
ひな
何を見てるの?
あなた
…あの雲…チキンみたい
思わず呆けてしまった。




でも。
ひな
ぷっ…アハハハハッ!!!
ひな
そっか、、うん、美味しそうだね
あなた
あっちはお刺身
ひな
うわ、見える!
ひな
じゃああれは…
2人でふわふわとした丸い雲を指す。




「「綿菓子…/!」」



声が揃う。








そして、私達は友だちになった。









ひな
やっほーあなた!
ひな
今日の空もきれーだね
あなた
(コクン)



そうやって、2人でいる時間が何よりも楽しかったんだ。
あなた
〜〜、〜〜、、
ひな
…それ、何の歌?


ある時、あなたが歌っていた。





気づいたときにはそう聞いていた。




あなた
「〜〜〜〜〜」だよ
ひな







気がつけば、私は歌っていた。





とっても楽しかったんだ。




















まさか、その後にあんなことになるなんて思ってなかった。





ひな
い、いや!!!何するの!!!?
いつものように、お祈りに連れてかれた。










いつもなら、ただ心を無にしていれば終わる。




けど、其の日は違った。





真っ白な部屋。



息を荒くして迫ってくる小太りな男。



とても嬉しそうにガラス張りの窓から見てくるお母さん。






ひな
いやぁっ!!いやぁっ!!助けて!!
ひな
助けて…!!!!












涙が次から次に溢れ出る。









服が破かれた。




押さえつけられた。






怖い。






怖い。







ひな
ぁ…。
「落ち着いて」





そんな、声が聞こえた気がした。




「息を吸って、吐いて」





ゆっくりと深呼吸をする。




ひな
あなた





その時。




モブ
警察だ!!
モブ
投降しろ!!!














私は間一髪で助かった。












後から聞いたこと。



私が急に落ち着いたから、男は手出しを躊躇ったらしい。






あなたは、私を救ってくれた。


















お母さんは捕まった。








私は自由になった。





まだ中学生だったが、廃人状態だったお母さんに代わり家事や
中学生でもできるバイトで生きてきたこともあり私は一人暮らしが認められた。



そして。
ひな
…。



私は、いつもあなたと話す屋上のドアを開けようとして躊躇っていた。
私のことは皆が知ってる。





周りから遠巻きにされるのは慣れている。





けど。あなたは受け入れてくれるかな。




胸が冷たい。





苦しい。







やめようと、背を向けたその時ドアが開いた。
ひな
…あなた。
あなた




あなたは何も言わなかった。




ただ、頭を撫でてくれた。



優しく、優しく。
ひな
うっ…ふ、、う、わぁぁぁぁん!!!




私の心から冷たいのが流れていく。



瞳から温かいものが零れ落ちる。
あなた
大丈夫…大丈夫…





あなたにしがみつきながら、私は死ぬほど泣いた。




ひな
…なんてこともあったねぇ。



写真に、珍しく笑ったあなたが写っている。
ひな
アンタが死ぬなんて…。



もう、あの水色を探すこともない。




もう紺色を探されることもない。
ひな
安心しなよ、人に見られたくないものは全部処分したから。




後は。





デカい本棚を見上げる。




ひな
コナン全巻に文スト全巻…ドクストもあんじゃん。
ひな
一息ついてからやるか…っ!?



グラグラと地面が揺れる。








本棚から本が崩れ落ちてくるのが見えた。












あ、、、死ぬのか。
ひな
もし転生できたら…今度はのんびり生きたいなぁ。






降ってくる本を見ながら、私はそう願った。





















.。o○ 百瀬ひな



.。o○ 享年29歳



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