裕也「おまえさあ、」
恭也くんがいなくなった部室で、先に沈黙を破ったのは佐々木先輩だった。
裕也「恭也のこと好きだろ」
花梨「え...なんで....」
裕也「分かりやすぎ。ずっと見てたら分かる」
花梨「そう、ですか」
裕也「諦めろよ」
花梨「....!」
まさか、そんなことを言われるとは思っていなかったから、頭の中が真っ白になる。
裕也「見てたろ?恭也は、東雲のことが」
花梨「分かってます!」
つい、大きな声を出してしまう。
花梨「...すみません、今日は、先に帰りますね」
なんだか切なそうな表情をしている先輩を置いて、部室から走って遠ざかる。
校門を出たところで運動が苦手な私は息がれて、思わずしゃがみこんだ。
花梨「なにやってんだろ、」
恭也くんが好き。
それは自覚してた。
でもその恭也くんは、東雲唯依先輩が好き。
それも分かってた。
でも、あんな言い方することないじゃん、佐々木先輩。
どうすればいいの。
?「花梨?どうしたの!?」
頭の中がぐちゃぐちゃになっていた時、聞き覚えのある優しい声が、近くで聞こえた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。