薄暗いリビングで、
柔らかいソファに沈み込むように寝転がった。
全身の力が抜けていくような感覚になる。
捜査一課に転属され、今日が初めての登庁日だった。
私の教育係として、三年前、陣平と組んでいた刑事・佐藤美和子が立候補するとは思っていなかったが、
彼女と組むことになって良かったと思っている。
――あなたは、七日でいなくならないでよね…あなた
私は笑いながら呟いた。
重い体をなんとか起こし、ダイニングテーブルの方へゆっくりと歩いた。
テーブルの上には帰ってくる前にスーパーで買った夜食とスナック菓子がビニール袋に入ったまま置かれている。
買ったものを袋から取り出した後、
冷蔵庫に入っていたキンキンに冷えたビールを取り、その場で開けた。
プシュッ、と弾けるような音を立てたビールを飲みながらテーブルに戻った。
席に座り、早速買ってきたスナック菓子を食べた。
カリカリした食感が実に良い。
――佐藤刑事、今日は高木刑事じゃなくて、この人と一緒なんだね
昼間のコンビニいた子供の言葉を思い出し、
私はスマホのアルバムを開いた。
四年程前に撮った彼が写った写真を見つけ、
それを懐かしく眺めた。
私はスマホを置き、再びビールを口にした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。