─────── これは何年か前の、6月頃のお話
ある日、私と福也はショッピングモールに買い物に行くことになった
久しぶりの買い物に胸を躍らせていた
いつもより気合い入れてメイクして。
いつもよりちょっとオシャレな髪型で。
よし、これでいいかな
口調まで明るく、自然と口角が上がる
こんなにワクワクしたのはいつぶりだろうか
2人で施設から一番近い駅へ向かう
駅は少し混んでいて、気を緩めたら逸れてしまいそうだった
そう言って福也は手を出す
私も少し顔を赤くしながらその手を取った
駅の構内へ入り、改札を抜ける。
しばらくホームで待っていると、電車が入ってきた
電車で2人仲良く話していると、一駅先なんてあっという間だった
隣町は私たちが住んでいる街よりだいぶ栄えていて、高いビルが多かった
遠くに、今日行くショッピングモールが見えた
ワクワクしながらショッピングモールへ向かった
ショッピングモールの入口で急に振り向いて福也がこう言った
プレゼント交換ってプレゼントをお互いに渡し合うやつだよね?
なんて面白そうで、魅力的な誘うだろう
もちろん私は頷いた
そう決めて私たちは、それぞれ別のお店へ向かった
お菓子、日用品など色々売っているが、やはり手元に残る物がいいだろう
ハンカチなんてどうかな?と思い雑貨屋に入ってみる
キレイなお花のハンカチや、キャラクターもののハンカチが沢山売られていた
福也の好きな花とか聞いておけばよかったな…と後悔する
じっと花のハンカチを見ていると店員さんに声をかけられた
すこし緊張しながらそう言うと、店員さんはこう言った
確かにいいかも…と思ったが、私は花言葉なんて知らなかった
永遠の愛。
その言葉がすごくしっくり来た
すこし食い気味にそう言うと、店員さんはニッコリ笑ってこう言った
満足感でいっぱいで、口角が上がるのを感じた
店員さんにお礼をいい、待ち合わせの場所まで向う。
まだ少し早かったが、福也はすでに待ち合わせ場所に居た
福也も私と同じくらいのサイズの紙袋を持っていた
そあ言って福也に紙袋を差し出す
福也は丁寧にラッピングを剥がし始めた
そう聞かれて私は自信満々に答えた
そう言うと福也は嬉しそうに笑った
喜んでいる福也を見て私まで嬉しくなった
プレゼントっていいもんだな…
そう言うと福也は真剣な顔になり、紙袋から白い小さな箱を取り出した
ワクワクしながら見つめていると、福也はその箱を開けた
箱の中には、ちっちゃな指輪が入っていた
指輪の真ん中に嵌められている石がキラキラ光っていた
福也は指輪を箱から取ると、私に手を出すよう促した
福也はそっと、私の薬指に指輪をはめた
私は顔を真っ赤にして、こう呟いた
そう言って微笑むと福也も微笑み返してくれた
2人で手を繋ぎ、駅へと歩き出した
私の薬指にはめられたリングについた石が、まるで私の心情を表すかのように、キラキラ輝いていた
番外編〚完〛
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。