血が出れば出るほど吸血鬼がこちらに気付いて、寄ってくる。
「ヤバいっすねぇ・・・」
「どうしよぉ・・・」
正に絶体絶命。
そんな時。
「もぉー、ヴァンパイア忙しいんだけど。何でこんな所に同族がいんの?訳分からないんだけど。てか何この血の匂い怪我してんじゃんあーあ血ーでてるぅーそりゃ吸血鬼も寄りますよ寄りますだって吸血鬼だもん仕方ない仕方ないこれは血を出してる方が悪いよねぇ」
甲高く、早口。
2期生 ギルザレンIII世 合流
「まぁ死なれたら困るからね、助けてあげるよ。はーーヴァンパイア優しー」
腕を軽く振った。
ただそれだけだった。
それだけだったのに、吸血鬼達は上半身と下半身が別れ、命を刈り取られた。
「つよ・・・」
「ギルザレンお前生きてたんだ」
「ねえヴァンパイア助けてあげたんだけど?お礼も無いの?まぁ別にいいけどさ。ヴァンパイアちょっと魔界に戻んないといけないから頑張ってねバイバイ」
「えっ、はぁ?!?!ちょっと待って、ってもういないし・・・」
正に嵐。
唖然とするハピトリを残してギルザレンIII世は音もなく去っていった。
「・・・まぁ、ザレンさんがかなりの量殺してくれたんで、今のうちに行きましょう。 とやさん大丈夫っスか?」
「まぁ、動けなくはないんで。ちょっと貧血でふらつきますけど・・・」
抑える腕からの出血はまだ止まっておらず、絶えず血が流れていた。
「もう少しで事務所着くんで、急ぎましょう。」
「そうだね。えっと、ここからだとあと5分くらいかな。」
「まぁそんくらいです。先輩の出血量が思ってたよりヤバいんでちょい急ぎ気味で行きましょう。」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。