第8話

8話
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2023/11/23 00:35
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in 事務所

「あ、もちさぁん!!もちさん達来たーー!」
「不破くん、もっと身体中に引っ込めないと何があるか分からないよ」
「あ、ソリ」

事務所の二階の窓から身体を乗り出して手を大きく振るうのは、ハピトリが着く20分前に事務所に着いていたメッシャーズの1人、不破だった。

「ってもちさん血ぃ出とるやん!大丈夫?!」
「ちょっと不破くんうるさいかも・・・」

既に血は止まっていてもかなりの失血をしてしまった剣持は既に貧血の症状で立っていられず、伏見に背負われていた。

「剣持さん、そのまま3階まで連れて行って。 健屋さんとか、医療班が居るから。」
「了解ー。 じゃあリリっち達は・・・」
「非戦闘員は4階のレコーディングルームで固まってもらってる。」
「らしいぜ!」
「まぁ私は厳密には非戦闘員では無いんですけどね・・・」

実際夕陽は戦闘経験もあるが、今回の相手は夕陽が今まで戦ってきたような相手とは全く違う。 先程までの戦闘もかなり苦戦していたのは事実だった。

「ちゅっちゅ一緒に行こ〜」
「はいはい。じゃあガっくんは先輩をよろしくお願いしますよ」
「任せてくれ!」

剣持を片手で支えながら器用にサムズアップをする伏見と別れ、夕陽と家長は4階へ、伏見は3階へと向かった。


「わぁ、剣持先輩めっちゃ血ぃ出してるぅ・・・」

若干嬉しそうに言ったのは健屋だった。 ライバーの中でも唯一医療機関に所属もしている現役の看護師である彼女はこうやって怪我をしたライバーを一人一人治療していた。

「取り敢えず血は止まってるけど全く傷が塞がってないから、仮縫いしましょう。 そんで、あとで治療系の魔法とかが使える人に頼んでちゃんとくっ付けてもらえば後遺症は残りませんよ。」
「そう・・・」
「とやさんっww生きて!!w」

剣持は疲れていた。
貧血で目眩は凄いし力は入らないし、血であちこち汚れたし、汗で服は湿ってるし、とにかく最悪のコンディションだった。
つまり、

「取り敢えず今は休んでくださいね。」

今の剣持刀也には、眠気に抗う力など残っていなかったのである。


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