お昼休憩の時間、貰ったケーキを食べた虎春が声を漏らした。
もぐもぐと食べる姿が可愛らしい。
ぽんぽんと優しく頭を撫でると、にこりと笑ってくれた。
(沙鶯にも後であげようっ)
料理の参考になるかも、なんて考えていると自然に沙鶯の喜ぶ顔が浮かんでくる。
今日は沙鶯がお泊まりに来る日。
新しい友達もできたし、帰れば沙鶯と一緒に過ごすことができる。今日は幸せな一日だ。
(早く会いたいなぁ)
そう思えば思うほど、沙鶯に会いたくなる__
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
▽▽
一礼し、小走りでオリエンテーションへ向かう虎春。
お昼の間だったけど、出会えた友達。
(小さくて可愛かったな〜っ)
大きなスクエアリュックを背負い、堂々と歩いている。
(凄く凛としてる子だなぁ…)
つぐみも、昔から背が小さいのが嫌だった。
背が小さいから大きなリュックを背負うのが嫌で、大学に入ってからはショルダーバッグばかり。
けれど虎春は大きなリュックを背負っているのに、小さいなんて思わなかった。
胸を張って歩いている姿は素直にかっこいい、そう思った。
後ろ姿だって堂々としていて、しっかりしている。
(つぐみも虎春みたいに堂々と歩いてみたい…)
そう意気込み教室を出ようとした時だった。
__
「…鶇君、約束、破ったんだね」
突然の声に驚き振り向けば、今朝話した男子が1人いた。
「悲しいなぁ。他の人に俺のお返しあげるなんて」
「…ふぅん。鶇君には俺の気持ち、伝わってなかったんだ」
(見られてたんだ…っ)
全く気が付かなかった。
段々と近づいて来る同級生。何をされるか分からない状況に一歩下がれば、その都度近づいて来る。
「鶇君にはお仕置きが必要だな」
壁に追いやられ、服に手が入ってくる。
あまりの嫌悪感に押しのけるが、相手は興奮したまま。
「力もない癖に、抵抗するなよ」
キスを迫って来る相手の口を抑える。
(沙鶯じゃないと嫌っ…!)
沙鶯に触られている時とは全く違う感覚に寒気までする。
つぐみの抵抗に構わず触り続ける相手は、行為を止めてくれない。
わざと手にキスまでしてきた。
「鶇君…好きだよ」
(〜っ…沙鶯に助けを…っ)
お互いの気持ちを伝えるって決めたから。
昔みたいに、自分の気持ちを我慢するだけじゃ伝わらないことだってある…!!
ポケットからスマホを取り、沙鶯の連絡先を探す。
「…助けでも求めてるの?無駄なのにね」
沙鶯の電話のコールボタンを押した時、スマホを床に投げられた。
しかしコールは続いている。
「はぁっ…この白い肌に俺の痕、付けたかったんだ…」
ジュッと音を立て、首筋を吸われる。
(もっと周りを見ておけば良かった…っ)
なんでつぐみは失敗ばかりなのだろう。
我慢し続けて失敗して、今日は注意不足で失敗。
(どうしてつぐみはいつも…)
__
(さ…おう…)
スマホから聞こえる声に、涙が溢れ出す。
「…電話したの?…何やってんだよ…!」
「誰に連絡してんだよ…!!」
「うるせぇな…っ!」
スマホを蹴飛ばし、声が聞こえなくなる。
「いっつも男受けしそうな服着てさ…誘ってるようにしか見えないんだけど」
「いや、言い訳すんなよ」
首元のリボンを解かれ、ボタンを無理矢理取られていく。
「…はは、凄い胸綺麗だ」
(これ、沙鶯が選んでくれた服なのにっ…)
胸元にリボンが付いたクリーム色のシャツ。
似合うよって買ってくれた大切な服なのに。
なんでこんなこと…!!
「え?」
堪らず感情的に叫んでしまった。
「なっ…!!ふざけんなよ…!!」
ドサッ__
床に押し倒され、相手が覆い被さってくる。
「あーあ、可哀想に。今から大嫌いな俺に犯されるなんてね?」
(もう…いや…!!)
目を瞑り身構えた時…
4年前、つぐみの人生を変えてくれた大切な人。
そんな彼の、愛しい声が聞こえた__
モブ書くのって難しいですね〜!!
先週は別垢のマイ武を書いていました。興味のある方は煎茶。と調べてみて下さい。
次回はお口直しのいちゃこら甘々なさおつぐにします〜!!
いいね、お気に入り登録、コメントありがとうございます〜!!
次回もお越しください〜!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!