第9話

いつだってそばに。*°
314
2022/03/25 09:20
沙鶯
…俺の恋人に触ってんじゃねぇよ
っ…!!


(沙鶯…!!)



目の前の存在を見て、涙が溢れる。


走ってきたのだろう。息を切らしながら相手の腕を掴んでいる。



「ぁ?なんだお前」
沙鶯
つぐ…鶇の恋人だけど
んっ…

そっとを抱き寄せられ、相手に見せつけるように頰を撫でられた。
沙鶯
つぐ、怪我はない?
うんっ、無いけど…痕付けられて…
沙鶯
…っ!…んだよこれ…

先程付けられた首筋の痕を見せれば、顔つきが変わった。



(沙鶯怒ってる…)
ごめん…つぐみの不注意で…
沙鶯が選んでくれた服も…こんなに…
沙鶯
いや、つぐは悪くない。悪いのはあいつだ

「は?突然出てきて邪魔すんなよ。今鶇君と話してる途中じゃん?」
沙鶯
…嫌がって助けまで求めてきたのに何言ってんの?
沙鶯
ふざけるのも大概にしろよ

そう低い声で怒れば、相手がびくりと肩を震わす。



「なっ…なんだよ…なら男受け狙うような服着るんじゃねぇよ!リボン付いた服着て、女みたいな見た目しやがって!!」



「大体、男がそんな服着るのおかしいだろ!!」



そう大声で叫んだ相手の言葉にどきりと胸が鳴った。
っ!…そ…れは…

__お母さんからは、女の子のように過ごせと言われる日々だった。


今までは、お母さんの命令で着させられていた女の子のような服装。


嫌で嫌で堪らなかったけれど、沙鶯と過ごしている内に、大好きになった。


似合ってる、可愛いって素直に伝えてくれる沙鶯の言葉に、自信が持てたのだ。


沙鶯に選んでもらった服は、特にお気に入り。


それなのに、それを"男受け"と言われてしまった。


自分が好きな服を着ていたいけれど、周りの反応はそれぞれ。



(やっぱり、可愛い服着るのおかしいよね…)



沙鶯
………ぉぃ

「ぅ"っ…!?」



先程の言葉を聞いた沙鶯が、相手の胸ぐらを掴んだ。
沙鶯
お前につぐの何が分かる?
沙鶯
つぐがどれだけ悩んだと思ってんだ
沙鶯
襲ったことと、今言ったこと謝れ

今まで見たことのない冷たい顔で相手に迫っている。



「んで俺が謝んないといけねぇんだよ!!」

沙鶯
っ!お前につぐのことをとやかく言われる筋合いはねぇからだよ!!
沙鶯
俺の恋人を傷つけたこと、絶対許さねぇからな
〜っ!!


「っ…」



(あぁ…いつも沙鶯は…)



我慢して押し殺していた気持ちに気づいて、つぐみを安心させてくれる__

沙鶯
…つぐからの電話を聞いていた人は何人もいる
沙鶯
晴向さんも聞いてたぞ

「え…月上さんも…?」
沙鶯
栄養科でも憧れの人だよな?そんな人に自分がしたこと聞かれてたんだよ。つぐのこと凄い心配してた
沙鶯
俺達の証言と、つぐからの訴えがあったらお前はどうなるんだろうな?

「わっ…悪かったって!そんな本気になんなよ…!!」
沙鶯
……それが人に謝る態度か?
沙鶯
ちゃんとつぐの顔みて言えよ


「ひっ……鶇君…ごめんっ…ごめん…」
ぁ…

先程の行為を思い出し、後退りしてしまう。


身体が震え、思うように声が出ない中、沙鶯が優しく背中を撫でてくれた。
沙鶯
…次はねぇからな


「っ…!!」



教室を飛び出し逃げ出した相手を見て、身体の力が一気に抜ける。


ペタンと床に膝を付けば、すぐに背中を支えてくれた。
沙鶯
っ!つぐ、もう大丈夫だよ
沙鶯
無事でよかった
〜っ!…ぅぅ〜っ…!!

優しく微笑む沙鶯を見た途端、涙が止まらなくなった。


いつもつぐみを守ってくれる。


高校生の時から、沙鶯はつぐみのヒーローだ。
助けてくれて…ありがとう…っ

精一杯の声で伝えれば、涙を拭ってくれた。
沙鶯
つぐが無事で一安心だよ
沙鶯
つぐの為ならどこにでも駆けつけるからね?
沙鶯
それに…
ん…っ
沙鶯
我慢せずに助けを求めてくれて嬉しかった
〜っ、うんっ

ぎゅっと抱きしめられる。


大好きな香りに包まれ、顔を埋めれば額にキスをしてくれた。
沙鶯
つぐとの会話、晴向さんと雨月さん、楓馬さんも聞いててさ、皆鬼の形相
沙鶯
俺が行くって説得するの大変だったよ〜…
沙鶯
つぐの良さを知ってくれているから、皆心配してたんだよ?
つぐみの、良さ…?
沙鶯
うん、沢山あるよ〜?語りきれないくらい

優しく微笑みながら話す沙鶯。



(ぁ…そうだ…)



さっきは冷静に考えることができなかったけれど、つぐみの服を可愛いって言ってくれる人は沢山いた。


晴向に雨月、楓馬に雛さん、こたに琥珀だって皆容姿を馬鹿にしたことなんてなかった。


つぐみはつぐみのままで良いって、そう言ってくれた大切な存在達。
つぐみは、つぐみのままで良いんだ
沙鶯
そうだよ〜、つぐはそのままで良い
うんっ

可愛い服を着たって、つぐみはつぐみなんだから。



(後でちゃん無事の連絡しないと…)



心配してくれた皆に、感謝の気持ちも伝えなきゃ。

沙鶯
それより〜…
んんっ…

解けたリボンの隙間から、首筋に指が這う。
沙鶯
…ここ、上書きしないとね
ん…ぅ…

嫉妬した顔で首の痕をなぞられる。


取れたボタンに気づき、そっと上着を着させてくれた。
沙鶯
今日、いっぱい痕付けるから
〜っ♡♡


(学校でこんなこと考えちゃダメなのに…っ♡♡)



下を向いて赤くなった頰を隠そうとすれば、顔を上げられた。
沙鶯
つぐ、何考えてんの〜?
〜っ…えっと…っ♡
沙鶯
ふふ、顔真っ赤

沙鶯にはばればれのようで、意地悪なことを聞いてきた。


でも…沙鶯に触って欲しいから。
……したい
沙鶯
ん〜?
えっ…



__




えっちしたいって思ってる…
沙鶯
〜っ!!

そう耳元で囁けば、予想外の言葉だったのか顔を赤くした。



(学校でいけないことしてる…♡♡)



誰かに見られるかもしれないドキドキ感。


でもそんなの関係ない、早く沙鶯に触りたいって身体が反応する。

さおう…♡♡
沙鶯
っ…
んんっ♡♡…ちゅ♡♡は…んぅ♡♡っ♡♡

誰もいない教室にリップ音が響く。


あぁ、早く上書きしてほしい。


全部全部、沙鶯に染められたい。


そう願いながら、首に腕を絡めた__

















お久しぶりです〜!!更新遅れてしまって本当にごめんなさい…!!!!


荷造り、引っ越し作業、病院…忙しい2週間を過ごしていました…。


この後、さおつぐはトイレでむふふであははなことをしました。


因みに晴向、雨月、楓馬の3人は鶇と沙鶯のことが心配で授業に身が入りませんでした…鶇セコムは沢山います(こたは後日話を聞いて、この子は守ると誓います※こたも守られる側)


さて、次回は晴雨を予定していたのですが、虎春の更新もしなければ話が進まないので、優先して虎春を更新します(晴雨を楽しみにしていた皆様、申し訳ございません…!!)


いいね、お気に入り登録、コメントありがとうございます〜!!


次回はすぐに更新すると思います!!


次回もお越しください〜!!

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