翌朝、目を覚ますと
いつもの見慣れた風景ではなく
心がそわそわするような
居心地の悪い場所だと実感した
この天井も、この匂いもあの頃のまま
何も変わらずわたしの部屋のままだった
嫌になるまで勉強したこの机も
勉強していた参考書もこのままだった
なんとなくその1冊を開いた
今となれば何のためにこんなに覚えたのか
大人になったら使うことがあると思っていたのか
どの問題も今じゃ解くこともできない
ぱらばら捲っていく1ページ
1枚の紙が出てきた
「がんばれ、生徒会長」
そう一言書かれたメモ
その文字も書き方を見てあの頃が蘇る
大学入試を翌週に控えた放課後
自由登校になったその教室には
誰も来ることはなかった
図書館の改装工事で
仕方なく学校で勉強することにしたわたしは
誰もいない教室で夕方まで勉強を続けた
夕焼けに染る教室の窓の向こうは
心を癒して眠気も誘ってきた
大きく背伸びをすると
ぱらりと落ちた紙
そのぶっきらぼうな書き方、文字は
一緒に勉強していたからわかる
間違いなくジョングクくんの文字だった
急いで周りを見渡したが
そこにジョングクくんの姿はなかった
誰かが見てくれている、
誰かが応援してくれているという安心感
本当に、自由になれる気がした
そして、なれた
はずだった
懐かしいそのメモを
携帯ケースのポケットに入れた
絶対に屈しない
絶対に戦ってみせる
あなたには負けない
お父さん
携帯を確認するが連絡はない
小さく首を振った
社長室に入って作業を続ける
溜まっていた書類を一気に終わらせた
その中で気づいてしまった
【契約前書類】
フォルダにロックがかかっている
前にもそんな事があったような...
なんだろう、この違和感⋯⋯
胸がそわそわする
ジョングクくんに聞いてみよう
どうして、こんなによそよそしいんだろう
きっとなにかあるけど、
ジョングクくんは絶対言ってくれる
わたしはあなたを信じてる
わたしは気付かないふりをして作業を続けた
車内でもいつもは楽しく話をするのに
今日はジミンさんもジョングクくんも黙ったまま
わたし、なんかした?
李さん?
点灯式でも業務報告だけしか会話がなく
綺麗なイルミネーションを見てもなにも思わなかった
気持ちが入ると入らないでは
こんなにも見るものを変えてしまうんだ
ジョングクくんの心が離れている気がする
ねえ、どうして?
わたしなにかしちゃったかな?
イルミネーションを見つめる
ジョングクくんの背中をわたしは見つめる
ジミンさんは遊園地の責任者と事務所に向かった
わたしはジョングクくんと家の方向に歩く
仕事の話はするけど、
それ以外の話はなかった
ジョングクくんはマンションに向かう
わたしは携帯のポケットから紙を取り出した
ジョングクくんはゆっくりわたしの方に向かうと
その紙を手に取って見つめた
その文字を見た瞬間目を見開いて目を泳がせた
ジョングクくんが
素っ気なくする意味はわからない
でも、わたしは変わらずあなたを想うよ
ジョングクくんは
黙ってわたしを抱きしめてくれた
暖かくて、優しい
ジョングクくんが力が強くなって
さっきよりも強く腕が体に食い込む
緊張の糸が切れると
急に涙が出そうになる....
震えてしまう声を必死で我慢する
話が終わる前に
ジョングクは両手であなたの頬を挟む
尖されせた口のまま
ジョングクくんを見つめる
ジョングクくんは優しく目を細めて
甘い視線で見つめる
その顔は弱い...///
ドキドキしちゃうの...
胸を締め付けるくらいのときめき
握りしめる手のひらに力がこもる
わたしは小さく頷く
嬉しそうに笑顔を向けると
その指を手に絡めて、
ジョングクくんのマンションに向かった

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。