昨日、検査を受けて、無事に退院許可が出た。
病院からの朝焼けを見ようかと思ったけど、
妙なことをしてお説教を喰らうのは嫌だから辞めた。
だから、手紙を書いていた。
これならお説教を喰らわなくて済む…はず。
漂流郵便局。
なんでも、亡くなった人や未来の自分に手紙を
送れるらしい。
四国にあるらしいその場所は、海風を感じられて、
夏がよく似合うところだそうだ。
あの人に送るには丁度いい。
いつか書こうと思っていたけど、
やめていた。
それに、私は語彙力があまりないし、
書き始めたところですぐ筆が止まってしまう。
だから、私は言葉を紡ぐんじゃなくて、
一つの言葉を書いた。
大それた物じゃないし、予言なんて物じゃない。
ただのメモ書きくらいの価値だけど…
私が死んだあと、誰かに見て欲しい。
ただそれだけだ。
妖怪の類は信じないタイプだけど、
怖がりではあるから、この看護師さんは苦手だ。
そういう系統で行くと諸伏警部のあの独特な
雰囲気も苦手ではある。
でも、嫌いじゃない。
私の恩人がこんな雰囲気の人だったから。
知ってどうするんだ、という気持ちは抑え、
素直な考えを探す。
この妙な力に気づいたのは高1のころ。
その時はただ、この力の詳細を知りたくて
間隔を空けながらタイムスリップした。
一日の中の何時間前にランダムで戻ること、
記憶力の問題で一日に3回以下しか使えないこと、
昼より夜の方が戻りやすいこと。
この力を持って良かったと思ったのは父と母の交通事故を防いだときくらいだった。2人とも病死だったけど、
安らかな最期だったと思う。
でも、よくないこともあった。
そうだ、それを防ぎたくて警察官になったんだった。
そう、夢なんかじゃない。
夢なんて幻想的なものじゃなくて、
地続きにある今を基点として、その先にある未来を
見据えている。
言うならば、正夢。
私の言葉で言うのなら…












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。