syp side
午後の訓練も終わりに差し掛かり、
空にも僅かな朱が差した頃。
誰かの、高音が轟いた。
鈴が鳴ったと錯覚するような大声。
耳につんざくような、高い、高い声。
季節外れの蝉なら良かったのに。
そう始まる世間話という名の愚痴。
左から右へ流して、たまに相槌を打つ作業。
あ〜、帰っていいかな。
ようやく愚痴から一時解放(仮)されたのは、
自主練していた一般兵達も、
武器などを片付けて帰った後のことだった。
そうニヤニヤとこちらを見てくるチーノ。
瓶底メガネに隠された橙色が、
空に浮かんだ月よりも、半月になっていた。
そのくせ、色がやけに冷たかったのは、
きっと、目付きがうんと悪いせい。
声のする方へ体を向けると、壁にゾムさん。
語弊があるかも知れないが、
本当に、壁にゾムさん。
多分壁にめり込んでるか、ワイヤーか。
人間な限りはまぁ後者であろう。
トントンさん…
脳内再生余裕過ぎて困る。
急に、背後から物音。
背後には、チーノと一般棟のみ。
そういや、チーノが静かなような。
喉元を押さえるように俯いていたチーノ。
顔を上げた時の表情に、
人間ではないような深みを感じた。
…きっと、うんと視界が暗いせい。
きっと、めいびー。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。