朝ごはんを食卓に起き、お母さんを車椅子に乗せてリビングへと連れて行く。
今日の朝食はトーストにハムエッグ、サラダ。ハムエッグ結構美味しそうにできたの!!だからお母さん喜んでくれるかな〜ってそんなことを思ってた。いつしか、家の家事は全て私1人でやっていた。でも、将来一人暮らしした時のため…。そうやって瞬時にポジティブ思考に変える。そうしないとやっていけないから…。
私が洗濯機を回して、お風呂掃除をしてリビングに戻るとなにも手をつけてない朝食とどこか一点をぼーっと見つめているお母さんが視界に入った。
沈黙が続く。
お母さんを刺激しないように、私が下に出て行動する。
※ガラスが割れる音です…!
…そうだ。思い出した。お父さんが家を出て行った日の献立はハムエッグだった。
急いで飛び散ったガラスのかけらを拾い集める。
お母さん…昔はこんなんじゃなかったよね…そんなに…そんなに惰性が変わっちゃうなんて思ってなかったよ…
私が目玉焼きを作っている間、お母さんはテレビを着けてみていた。それからしばらくすると楽しそうに笑い出して…よかったって思った。
「ありがとう」その言葉がほしいわけじゃないけど言ってくれてもいいのにな…少しそう思ってしまう自分がいた。それから私は掃除機をかけたり、昼食を作ったり、お母さんの愚痴を聞かされたり…。そんなことをしてもう時計の針は14時を指していた。
課題…。やらないと
2時間くらい必死に授業に追いつくように課題をこなす。要領がよくなったことだけはヤングケアラーになってよかったと思う点。
疲れた〜
LINE
明日学校に行く楽しみがまた一つ増えた。勉強…一応受験生だからちゃんと基礎だけは定着させとかないと…。そんなことを思っていたらもう夕飯の時間になっていて私は慌てて家事をして、お母さんをお風呂に入れて、自分の寝る準備をしてベッドに入ったときには午前1時になっていた…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!