雄英から出てきて数日
毎日、毎日
ひたすらに呪霊を狩る
ゲームみたいに経験値が手に入ってレベルアップする訳でもない
それでも、ただひたすらにレベル上げのように作業として呪霊を狩る
雄英から離れたことによって任務が次々と送り込まれてくるから休みがほとんどない
ピ……ガコッ
自販機の前で独り言を零すも動かずにはいられない
何も考えなくていい
任務は楽じゃないけど…楽だ
そう言って着いたのは高専内の教室
綺麗に机が4つくっつけられている
何も分からないまま向かい合って座った
やな言い回しだなと思いつつ話に乗ることにした
うん、笑えてる。ただ人と関わることが少し
ほんの少し減っただけ
少し、私と悟くんの間に沈黙が流れる
こんなこと悟くんとはほとんどなかったのに
すると悟くんはその青々と宝石のような六眼で見透かしたように言った
『てめェが今まで何してようが、今のてめェを信じる』
さてと、甘ーいスイーツでも食べに行こっか、と立ち上がる悟くん
断ったのはほかでもない
今、誰かと居たくない
一人でいたかったから
時は少し流れ───
10月31日 19:00
渋谷、東急百貨店東横店を中心とする、半径およそ400mに一般人のみ閉じ込められる"帳"が降ろされる
渋谷事変と呼ばれる大きな戦いが始まった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!