ー咲嘩視点ー
何が起きたかわからない。
突然皆んな怪我をして、倒れ込んだ…?
あの魔物の王が技を打った?でもそんな感じはなかった…。
幸い奴はまだ動けなさそうだった。
私は周りを避けて走り、霊術の針を作り出す。
その瞬間、私の目の前に針山のような攻撃が来る。
ーあなた視点ー
さっさと言えばよかった!でももう何が技を打つ時間はない…。
仕方ない!昨日使わなければいいと思ってた技を使う!
私は針山の攻撃を、咲嘩に変わって受ける。
血を吐いた口を手で押さえ、奴を見る。
やっぱり、攻撃を相手に返すのではなく、相手と自分の感覚を共有していたらしい。
王には大量の針が体を突き抜けるように生えている。
そして、王と私がほぼ同時に倒れる。
地面に崩れるように倒れる。
咲嘩や兄様が周りに来て、目を涙を浮かべる。
でもこれで、全滅の未来は回避できた。
もう声は殆ど出ない。半端な神な私は、攻撃を受ければ死んでしまう。
だからこそ残しておいた、満月の日かつ一回しか使えない技。
そう言いながらも、私の手を握ってくれる。
周りが涙目ながらに疑問の表情を浮かべる中、私は技を使う。
途端に、急激な眠気が襲ってくる。
目の端で、私の体が光の粒子になっているのと、空の雲が晴れていくのが見える。
ーttmr視点ー
王は倒せた。でもそれより、目の前の現実が、俺も、咲嘩も、玲も、受け入れられなかった。
やっと出た声も、もう消えてしまった、肉体のあった場所に吸い込まれるだけ。
全員が、何が起きたのかわからない顔をして、でも涙を浮かべて、その場で立ち尽くす。
ポタポタ涙を流す咲嘩に、目を動かす。
服を掴み、泣いていて…
一瞬。彼女の翠の目が橙に見えた気がした。
ただの幻かもしれない。でも、即座に体が動いて、彼女の目を見る。
涙で潤んだ瞳は、左目だけ、色が違う。
周りが集まってきて、彼女の目を見る。
そして、皆が、口を揃えて言った。
消える際に何かした?だとしても、色が変わるのはどうして…
そう考えているうちに、はっとする。
気付けば、真っ白な空間。他の皆はいない。
くるっと振り返れば、薄く笑みを浮かべるあなた。
少し前に進み出て、彼女はにっこりと笑う。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。