いつしかもう夜で、死神君がいた。
すると、あのときと同じように、左手を頭の後ろにやって言った。
結月は思い出した。
それは、彼が、癖で、嘘をつくときにやっていたのだ。
流行ってるのだろうか。
そうなれば、なにかが嘘だ。
あたりまえのことを忘れていた。
アニメとかでは、普通の人間には見えないのだ。
また頭に手を。
意外と、単純なのかも。
死神の抜けっぽさに、親近感がさらに増した。
実はこの頃寝不足だったのだ。
寝不足だと、眠い。日中でも。
とくに、毎日ベッドの上だ。
ふと、カレンダーに目を向ける。
帰る、と言う前に、結月は死神の腕をつかんだ。
瞬間、結月にすごい睡魔が襲った。
強力すぎて、不自然だった。
あっさりと負け、無意識にベッドに体を預けた。
眠る結月をそっとなで、また、窓から出ていった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!