夕桜の姫である七瀬琴美がその場所で勉強会を開いていることを知った鈴と結月は、放課後になると七瀬の姿を一目見ようと彼女を探しに通りかかるようになっていた。
会議室の一室で、それほど広くはないが快適に勉強ができるようにエアコンは完備され、テーブルや椅子も揃っている。
この部屋が好きだと言う琴美に、多くを望まない控えめな性格なのがわかる。
彼女は勉強熱心で、会議室の中を覗くといつも真剣にプリントに書かれた課題について議論し、他の生徒達にも優しく教えて周っていた。
ペコリとお辞儀をして去って行く生徒たちに、七瀬は小さく手を振りながら見送る。
それから真っ直ぐに鈴と結月を見て声をかけた。
その場の乗りと勢いで七瀬に抱きつく結月。
驚く鈴と七瀬。
恥ずかしそうに笑う七瀬を見て、鈴は温かい気持ちになった。
桜姫になっても普通の女の子と変わらない。
悩みや不安は誰にでもあるのだと思えて、少しホッとした鈴と結月だったーー。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。