フラッグ車の周囲に集合した聖アークロイヤルの戦車に突如として上から砲撃が降ってきた。コンカラーの側面装甲に砲弾が当たって弾かれる。
ミヤジとフェネスの言葉を聞きながら、朱音はジェシカに無線を繋いだ。
ジェシカが偵察に向かったのを無線で確認して、朱音はすべての車輌に無線を繋いだ。
KV-1とT-34/76に守られながら、ミレイは手をひさしがわりにして前方を見た。
聞かれてミレイは指をパチンとひとつだけ鳴らした。
スオミを残してミレイは主力を率い、雪景色の坂道を下っていった。
ラムリとラトの言葉にフェネスが装填しながら唸る。
ハナマルの至極真っ当な疑問に、シロの返答は少し間があった。
シロの微妙な答えに怪訝な顔をしつつも、今はそれどころではない。
車長達の頼もしい返事を聞きながら、朱音のセンチュリオンが先頭に立って前進。その後ろにルカスのマチルダIIが続き、後ろと前以外の全方向を他の車輌が囲んで砲塔を各方面に向け、周辺を警戒しながら進む。
ラトが装填する音を聞きながら、フルーレはT-26に照準を合わせて発砲した。白旗が上がる。
さくらは返事をしながら照準を合わせて撃破。これでT-26はすべて片付けた。
朱音の合図で全車が足並みを揃えて加速し、一気に坂道を下る。
T-34/76は、追いかけてこなかった。
ミレイの合図で白山の車輌がバラけ、まずT-34/76がハウレス達のチャーチルに接近した。
スオミの合図で3輌が同時に発砲。両側面の砲塔接合部とエンジンに同時に着弾し、白旗が上がる。相討ちで1輌倒したが、ここでリタイアだ。
ベリアンに聞かれて朱音は少し考えた後、無線で全車に通達した。
フラッグ車から戦車が離れ、残ったのはセンチュリオンのみ。
朱音の実力を短い言葉で把握し、ミレイはKV-1に指示を出した。
短い無線をすぐに切って発進。コンカラーが発砲すると、前面装甲が砲弾で少し欠ける。
あまりの強度におののいたフルーレに、操縦席からゼパルが短くアドバイスした。
一旦停止してフルーレがKV-1の履帯を撃って破壊し、その直後にゼパルがアクセルを踏んで加速。後ろに回り込んでエンジンを撃ち抜いた。
ゼパルの有能さを目の当たりにして士気が上がったコンカラーはベレンのチャーチルと合流して前進した。
朱音との無線を切ってIII突の動きを確認したジェシカは違和感に気がついた。
白山高校は軽戦車から中戦車を中心とした機動戦術を得意とする学校だ。矛としてKV-1などを保有してはいるが、基本小回りの利く戦車で常に動き続けたいはずであり、この動かない狙撃手の存在はイレギュラーだった。
ここで発砲して相手の出方を探って推測を検証してみてもいいが、ジェシカに下された命令はGPS役だ。交戦の許可は出ていない。
ジェシカが推測とその確実性を確かめるための方法を朱音に伝えた。
操縦席と装填手席で喧嘩を始めてしまったロノとバスティンの話題を強引に中断させて、朱音はルカス車に無線を入れた。
マチルダIIとセンチュリオンは部隊から離れ、フラッグ車が潜む森へ向かった。
































編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!