さとみside
るぅとくんが急に叫んだ。
ヘッドホンをしていた俺にも聞こえるような声で。
そっちを見ると、既に莉犬の隣にいたころんとるぅとくんが床に片膝をついていた。
状況が分からず1、2秒経ってから理解した俺はメンバー同様に莉犬に駆け寄った。
冷静ななーくんの声で、スタッフははっとしたように音楽を止める。
莉犬のおでこに触れたころんが言った。
突然の出来事に皆驚きを隠せない。
実際俺も、まごついてしまいなんも出来ずにいた。
なーくんが一気に指示を出し、皆我に帰って動き出した。
そう言ってジェルくんは莉犬を軽々と持ち上げた。
……………ダメだ。今は笑っちゃ、けれど俺は突っ込まずには居られなかった。
そう。なんとジェルくんはあろう事か莉犬をお姫様抱っこしていた。
はい。
今は何も言わないでおこう。
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なーくんの言った通り、救急車にいつでも連絡出来るようにして皆を待つ。
未だに苦しそうな呼吸を繰り返す莉犬のおでこにそっと触れる。
今日遅れてきたのも、もしかしたら体調悪かったのかも。
……無理してたんだな
もっと頼っていいのに
そんなことを思っていると、莉犬が目を開いた。
遠慮がちに、小さく声をかけてみる。
良かった。反応がある
未だに虚ろな目をしたまま、莉犬は聞いた。
そう言った時だった。
途端に莉犬がボロボロと涙をこぼした。
俺がそう言うと、さらに泣き出す。
こんなに泣く莉犬を見たのは久しぶりで、こんな事を言う莉犬も久しぶりだった。
何か聞き出すなら、熱があってガードが薄い今だ!!とばかりに俺は聞いた。
マズイ……
過呼吸んなってきたな
それから数分間、一緒に呼吸して、静かに泣きじゃくる莉犬の背中をさすって。
大丈夫、大丈夫って繰り返した。
そうして、やっと莉犬の呼吸が安定して、目を閉じたころ、皆が帰ってきた。
俺の腕の中で寝落ちしている莉犬を見て察したようだ。
今度はコソコソ声で話す。
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結局、皆帰って来てから莉犬が寝てる間に測った体温は39℃だった。
俺は、今あった出来事を皆にはなして、最後に言った。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。