Lside
りうらの働いてる会社にはどんな仕事も完璧にこなしちゃうスーパーハイスペックイケメンの先輩がいた。
誰にでも優しいから当たり前に若い女性社員からはいつも黄色い歓声を浴びている。言うて俺も密かに憧れていて、少し恋愛的に見ていたりもする。
そう、この人がりうらの憧れのないこさん。今日も優しい笑顔に心を打たれる。
ないこさんとサシで飲みに行けるなんて夢見たい。微熱を帯びる頬を手で冷ますように顔を包む。あれこれ妄想しちゃいそうになるけど、仕事が終わらないと行けないから頬を叩いて仕事に集中した。
定時になったけど一部終わってない部分があったからないこさんを少し待たせてしまった。
足の長いないこさんに置いていかれないよう早足になにながらテクテクと後ろをついて行く。
俺の腕に軽く触れて来るよう促され、隣に立つと俺に合わせてくれたのか歩くスピードを少しゆっくりにしてくれた。スパダリすぎて逆にいらつく…
暫く歩くと段々と街の光が減ってきて比較的落ち着いた通りまで出た。
そこはいつも会社で行くような居酒屋とは違うバーみたいにお洒落なお店。
中に入ると目の前に広がるクラシックに統一された内装につい見とれてしまう。
ないこさんに呼ばれ店の1番角の席に座り、メニュー表を渡された。全体的に若干お高めで身が竦まる。
それぞれお酒と少しのおつまみを頼んでプロジェクトのことを話したり雑談したり楽しんでいた。
ないこさんが、会社にいる時よりもくだけたちょっとふわっとした雰囲気になっていてそのいつもと違う感じにドキッとする。
自分も渡されたのを飲みながらチラチラとないこさんの方を見る。
飲んでる仕草もかっこいいし、はっきりと浮かぶ喉仏が上下しててそれもまたいい…。
お酒弱いの意外…!確かに思い返してみるとないこさん会社の飲み会でもノンアル取ってた気がする…。
俺の度数高いお酒を飲んだからか、雑談を繰り返してる間にないこさんの顔が徐々に赤くなっていく。たまにぼーっとしてる様子も見られたし結構きてんのかな。それにしても顔赤くして目がぼんやりしてるのちょっとえっちだなって思ったり…
くいくいっと手招きされて、丸テーブルに沿って移動しないこさんの隣に座る。
突然の衝撃発言に目を丸くして見つめることしかできなかった。
服を掴み引っ張られ、気づいたらないこさんの顔が息の当たる距離まで近くにあった。
汗をかいているというのもあってか、いつもより濃く感じられるないこさんの香りに頭がくらくらする。
ただでさえお酒がはいって火照っている顔に再度熱が集まってきて、きっと俺は茹でダコ状態だろう。頭回らないからどうすればいいのかも分からないくなって一旦この場から逃げようと立ち上がる。
トイレに駆け込んで気持ちを整理する。
まさかないこさんが酔うとああなるとは思ってもいなくてめっちゃびっくりしちゃった…。流石にもう酔いを覚まさせないと俺が持たないからカウンターでチェイサーを貰って戻ろう…
戻ると机に突っ伏して潰れているないこさんがいた。
持っていたふたつのチェイサーのうちのひとつを自分で飲み干した。もうひとつのチェイサーを渡すためないこさんを起こし、脂肪の少ないシュッとした頬にグラスを当てる。
やっとグラスを受け取ったかと思えばすぐに机に置いて俺の腕を強く掴む。
渋々、でも内心どこか喜びながら対面で膝に座る。普段は見れないないこさんの上目遣いに心臓がうるさくなる。
え、え?いま、きす…
可笑しそうに笑われてムッとしてると、今度はさっきより真剣な眼差しになる。
上手く言葉が出てこなくて沈黙の時が流れる。
それを言うとないこさんは俺を膝からゆっくり下ろし、帰る支度を始める。
勇気を出してそう言うと鳩が豆鉄砲くらったみたいにびっくりしてて、すぐにいつもの優しい笑顔になる。
それは確かにいつもの優しい笑顔だったけど、どこかいつもよりも幸せそうに見えた。
今度は自分からないこさんの横に並び店を出て、タクシーに乗り込んだ。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。