「くしゅんっ…。」
さむーい!
風邪引いちゃう。
遅いよ、翔太くーん……!
って、私が勝手に待ってるだけで…。
この春、私は大学2年生になって、幼なじみの翔太くんは就職して社会人になり、アパートで1人暮らしをしている。
今までお隣の家に住んでいたから、駅1つ離れているだけで寂しく思えて…。
時々、こうして勝手に翔太くんのアパートに来て、勝手に部屋の前で待って…。
でもね。
今日は、一大決心をしてここへ来た。
『あなた?』
その声に振り返る。
薄暗い中、声の主を視界に捕らえると私は途端に頬を緩ませた。
「あ、翔太くん。」
私に"翔太くん"と呼ばれた彼は、あからさまに嫌な顔をして、短く息を吐き出した。
『…なーにが“あ、翔太くん”だよ。』
コツコツと歩いてきた翔太くんがスーツのポケットをゴソゴソ漁って、小さな鍵を取り出した。
「寒いよー。翔太くん。」
『勝手に来るなって、いつも言ってるでしょ?お家に帰んな。』
そう言って、翔太くんは自室のドアの鍵穴に鍵を挿す。
相変わらず冷たい…。
でも…
ずっと、そんな翔太くんに片思いしている。
「慰謝料。」
『…は?』
「慰謝料、ちょーだい。翔太くんが遅いから、風邪引いちゃったかも……。」
『勝手に待ってたんだろ。』
翔太くんは眉根を寄せて、私を見据える。
でも、その獣みたいな鋭い目が好き。
「ね、冷たいでしょ?」
挿し込んだ鍵を捻ろうとする翔太くんの手を、上からキュッと握る。
翔太くんは私から目を逸らして、本日2度目の溜め息を吐く。
『で?慰謝料って、いくら?』
「んー…今晩、泊めて?」
『ふざけんな。』
「お願い。体ダルいの。帰れない。」
『…なら、車で送ってく。』
送ってくって?
よく言うよ…。
翔太くんのネクタイをグッと引っ張って、大胆にも顔を近づけた。
「…やっぱり。翔太くん、お酒くさい。飲酒運転、ダメじゃん。」
そう言うと、グッと翔太くんに両肩を掴まれて勢い良く引き剥がされる。
チラリと私を見る翔太くんに、にっこり笑顔を返すと翔太くんは、長く長く息を吐いてドアノブを捻り、私を招き入れてくれた。
『朝、送ってくからな。』
「はーい。…ねぇ、冷えちゃったからお風呂入ってもいい?」
『はい、はい。好きにして。』
冷たい翔太くんだけれど、こうやって私のワガママ聞いてくれて、優しいところもあるんだよね。
だから、諦められないの……。
ねぇ…
翔太くんは、私のこと…
どう思ってる…?
to be continued……
ーあとがきー
内容が希薄な感じですが…😢
これから展開?していく予定です🤣
続きます💦
お待ちください😢
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。