ぼく達は晴兄が運転する車に乗って
安倍家に向かっている。
助手席に佐野さん。後ろの席の左側に
座敷さん。中央に狸塚さん、
その隣の雨兄の膝の上にぼくは乗っている。
泥田さんは、なんと飲み物になって
ペットボトルの中に居る。
4人には名前を教えて貰った。
ぼくは早速雨兄に買ってもらった
キルケゴールの「死に至る病」を読んでいる。
すると、狸塚さんが声を掛けてくれた。
分かるか分かんないけど
表紙を見せながら著者名と題名を答える。
狸塚さんは困惑したような表情になっていた。
...すみません..。
晴兄...自信満々で言うことじゃないよ...。
大方さっきの話だろう...。
ぼくも将来5枚で1000円の
服着るような大人にならないようにします。
すると、先程までずっと黙っていた
座敷さんが口を開いた。
その場がシーンと静まり返った。
それと同時にぼくには慈悲の視線、
晴兄には軽蔑するような視線が飛び交った。
いや、待てよ...若干否定は出来ない。
この前晴兄がくれたお土産は子供用セーラー服。
下がズボンであることがギリギリの救いだけど...。
すると、佐野さんが晴兄に絞め技を食らわせた。
【番外編】名前
晴兄が車に乗って来たので
それで安倍家に向かおうということになった。
今は駐車場まで向かっているところだ。
すると、雨兄をビンタした男性が話しかけてきた。
身長が低めなのでぼくと目線が合いやすい。
ぼくが自己紹介をすると、
ビンタの人も自己紹介をしてくれた。
すると、他の方の名前も教えて下さった。
狸塚さんは前に居る
ナンパをされていた女性を指さした。
その次にその隣に居る
眼帯を付けた男性を指さした。
紹介の仕方が凄いが分からなかったので助かる...。
佐野さんの紹介の時が一番嬉しそう...。
すると、佐野さんがこちらを向いた。
狸塚さんが代わりに自己紹介をして下さった...。
すると、今までぼくの後ろで
威圧感を放っていた雨兄が口を開いた。
すると、いつの間にか車についていたようで
晴兄が鍵を開けようとした。
すると、雨兄は晴兄を助けに向かった。
今がチャンスだと思い、
雨兄の性格を話しておいた。
狸塚さんはしょぼーんという顔をしていた。
という晴兄の元気な声が聞こえたので
車に乗る準備をした。
と、佐野さんが晴兄に技を決めているのを
横目に話をしっかりと聞いておく。
ココア?
ごめんよ〜と、本当に悪気のない顔をされたので
大人しく雨兄の上に乗っておく。
でも、本をゲット出来るチャンスを
逃す訳にはいかないよね(
一応、ぼくが居なくても買えるように
本の著者名と題名を教えておく。
ぼくはそのまま既に車に乗って
ぼくを待っている雨兄の膝に座った。
こころなしか雨兄が嬉しそうに見える...
いや、こころなしじゃなく本当だと思うけど...。
すぐ後に車は出発した。

























編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。