第8話

半端者
8
2026/01/17 12:00 更新
燈矢兄さんとは暫く会えていなかったが

目の前に映った腕には最近……いや、場合によっては

数分前に出来たばかりだと言わんばかりの火傷まみれだ





おまけに雨の匂いで薄まっているが

煤、炭などの何かの燃えカスの臭いが鼻を擽った

燈矢兄さんは目を見開き、視線は私の顔と義足を

交互に見て何があったと言った表情をしていた
未創美衣
と、とう…燈矢兄さん
その…火傷……
轟燈矢
なあ
轟燈矢
何なんだよ…ぱったり来なくなった挙げ句に
んな変わり果てた姿になって………
轟燈矢
その足は何だ?新は今何処にいるんだ?
なあ…全部教えろよ
息を吐かずに捲し立てた燈矢兄さんは

子供ながらあの母親の罵詈雑言よりも怖かった

それくらい、私が燈矢兄さんのことを信頼していたかも

もう今は会うことも出来ないけど……





そう考えたら怖がらずにすればよかったな

後悔ばっかしてるや





どうすれば良いのか分からずに意気地無しに

私は狼狽えて後退りをしていたら

燈矢兄さんは眉を潜めて強く私の手首を掴んだ

平均の子供よりも痩せて骨の感触が分かりやすかった

あの時の私の腕はより一層痛みが伝わった





新のことを言えば親のことも


繋がって言わなきゃいけなくなる


私は、"それ"が怖くて仕方なかった


言えば…どうなるのか分からない恐怖で覆い尽くされてた


だから、私は………

















































































未創美衣
か、カッコいいでしょ……この足…!
質問を無視して……そう、笑いながら言った

濡れた顔でくしゃくしゃに目を細め

雨なのか涙なのかも分からない液体が

目尻から頬へと溢れていた





ただ、鼻がツンっとちょっと痛くて

ブサイクで下手くそな笑顔だった気がする





燈矢兄さんはそれ以上何も言わなかった

雨晒しの中、掴んだ腕を申し訳ないと思いながら

私は無理矢理腕を振るって離させた



















それから振り返らずに走った、走って…走りまくった

後ろを振り返ると追ってるような感覚が

強くなりそうだったから

だけど家に帰るのが一番嫌だったから

公園に行って冷たい木の下で

身を縮めながら時間が過ぎるのを待った





泥だらけになっても寒くて仕方なくても

絶対に夜になるまで目を閉じて過ごしていた




















それから、泥んこまみれで帰ったとしても

いつの間にか帰っていた母親は汚ならしい目で

そ知らぬ顔でいる父親は深いため息を1つ吐いて

玄関にいた私を見ていた
未創美衣
あっ…ごめ、ごめん…なさ……
母親
そういうの良いからさ
さっさと自分で洗いなさいよ
父親
お姉ちゃんなら自分の服も汚した床も
自分で掃除出来るよな?
べちっと生乾きの使い込まれて

所々黒い雑巾はその時の自分にお似合いだった
















ちょっと裏話



実はこの作品で登場人物のプロフィールを見ると

未創美衣から見た各人物達の気持ちが分かります

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