第3話

2話
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2024/06/23 09:53
パイモン
な、なぁ…旅人。開けてみないか?
目の前の箱を見つめること数十秒
じっと静かに見つめていたパイモンが小さな声で提案してきた
う、うん…開けてみよう
俺はそっと近づき箱の目の前に立つ
開けるよ…
パイモン
お、おう…
俺はそう言って目をつぶった
箱は鍵がかかってなく、ガチャリと言う音と共に簡単に開く
これは…
箱の中には詩に書いてあった何も写さない鏡と元素が付着している宝石のネックレスが乱雑においてあった
パイモン
うへぇ…高そうなネックレスをこんなに適当に置くなんて、持ち主はガサツなんだな
パイモン
しかもこれ…絡まって解けそうにないぞ
パイモンは箱の中を見て若干引いた反応を見せる
けれど、俺の興味は何も映さない鏡にしかいかなかった
ネックレスと同様、七元素が付着している宝石を嵌めた何も映さない…いや、曇った鏡
パイモン
どうやら、箱の中はこの絡まったネックレスとその古ぼけた鏡しかないみたいだな
パイモン
どうする?離月港に戻るか?
パイモンは震えた小さな声で俺に囁く
うん…そうだね
もう他に収穫は無さそうなので俺達は離月港に戻ることにした
パイモン
ん〜!やっと戻ってこれたぞ…
パイモンは満月になりかけている月を背に体を伸ばす
パイモン
それにしても…その鏡、詩に書いてあった何も映さない鏡か?
…多分
俺は鏡を上に掲げて鏡を見つめる
…!?
本来見えるはずの俺の顔は見えず、何故か黒い髪の少女が映し出されていた
信じられず俺は目を擦る
再び目を開けるとそこには何も映っておらず、目の前にあるのは何も映らない曇った鏡だった
鍾離
旅人、久しいな
パイモン
あ、鍾離!
懐かしい声が聞こえ振り返る
そこには頬に汗を浮かばせた鍾離先生が立っていた
久しぶり
これは鏡を抱きかかえ、鍾離先生に挨拶をする
鍾離
久しいな。お前が息災で何より…!
…?
鍾離先生が鏡を見ると、目を丸くさせて今にも泣きそうな顔で鏡を見つめた
鍾離
旅人…それを、どこで…?
鍾離先生は心配になりそうな程か細い声で尋ねる
パイモン
帰離原にあったすっごい不気味な洞窟にあったぞ
鍾離
帰離原に…
パイモンが説明すると、鍾離先生は安心したように呟いた
鍾離
あなた…お前はそこにいるのか…
小さな声で鍾離先生は話す
パイモン
あなた…?鍾離、そいつは一体誰なんだ?
パイモンは俺が疑問に思ったことをタイミングよく尋ねる
鍾離
鍾離先生は少し間を空ける
そして重々しく口を開いた
鍾離
あなたは…
鍾離
俺の…いや、俺達七神の最も信頼する魔神だ
パイモン
最も信頼する魔神?お前ら以外にも魔神っていたりするのか?
パイモンは苦しそうに口を開いた鍾離先生を横目に質問する
鍾離
…あぁ。彼女は俺達の…言わば上司みたいな者だ
鍾離
星の魔神ウァサゴ…これが彼女だ

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