目の前の箱を見つめること数十秒
じっと静かに見つめていたパイモンが小さな声で提案してきた
俺はそっと近づき箱の目の前に立つ
俺はそう言って目をつぶった
箱は鍵がかかってなく、ガチャリと言う音と共に簡単に開く
箱の中には詩に書いてあった何も写さない鏡と元素が付着している宝石のネックレスが乱雑においてあった
パイモンは箱の中を見て若干引いた反応を見せる
けれど、俺の興味は何も映さない鏡にしかいかなかった
ネックレスと同様、七元素が付着している宝石を嵌めた何も映さない…いや、曇った鏡
パイモンは震えた小さな声で俺に囁く
もう他に収穫は無さそうなので俺達は離月港に戻ることにした
パイモンは満月になりかけている月を背に体を伸ばす
俺は鏡を上に掲げて鏡を見つめる
本来見えるはずの俺の顔は見えず、何故か黒い髪の少女が映し出されていた
信じられず俺は目を擦る
再び目を開けるとそこには何も映っておらず、目の前にあるのは何も映らない曇った鏡だった
懐かしい声が聞こえ振り返る
そこには頬に汗を浮かばせた鍾離先生が立っていた
これは鏡を抱きかかえ、鍾離先生に挨拶をする
鍾離先生が鏡を見ると、目を丸くさせて今にも泣きそうな顔で鏡を見つめた
鍾離先生は心配になりそうな程か細い声で尋ねる
パイモンが説明すると、鍾離先生は安心したように呟いた
小さな声で鍾離先生は話す
パイモンは俺が疑問に思ったことをタイミングよく尋ねる
鍾離先生は少し間を空ける
そして重々しく口を開いた
パイモンは苦しそうに口を開いた鍾離先生を横目に質問する
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。