探偵社に来て数年が経過した 。
織田作の言う通り敦くんという孤児も拾って
光側を生きて 、実感はないけれど
笑うことが増えた気がしていた 。
けれども、少しだけ 、
何故か、少しだけ、心に穴が出来ていたような
そんな気がしていた 。
『 太宰さん?どうしました? 』
『 ぁ … いや、なんでもないよ 』
『 それはそうと敦くん、この前さ ──── 』
現相棒の国木田くんを揶揄うのは楽しい 。
怒ってくるし煩いし 、
何処か既視感があって、懐かしくて 、
でも何か足りない 。
元孤児の敦くんを揶揄うのも楽しい 。
おどおどしてわかんなくなってて、
不安になってるところが誰かにそっくりで 、
でも何か足りない 。
もんもんと、
そんなことを思い続けて過ごした 。
けれど
『 相っ変わらずの悪巧みかァ? 』
その声が、全てを突っ切った気がした 。
懐かしい 声、そう思った 。
『 … げ、その声は 』
それは、私が足りないと思っていたもの、
『 いいねこりゃ、最っ高の眺めだ 。
百億の名画にも勝るぜェ 』
『 えぇ?太宰! 』
中也だ 。
君がいないと、やっぱり何か 、
足りないんだよ 。
愉快だし 、煩いし 、
騒がしいし 。
…… そんなムカつく中也の表情を見上げて、
ただ一言 。
『 うわ、最悪 。 』
中也は、昔のように愉快に笑いつつも
苛つきを覚えた表情だった 。
『 君がいないとやっぱりさ、
つまらないのだよ 、 』













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!