何をするのも堂々と振る舞うヤツメだが、見知らぬ男の子と、文華がにこやかに、話しをしている所を見て、何故か激しく動揺していた。
「ヤツメ様、カッチコッチですよ」
「大丈夫ですか?」
この言葉が、ヤツメのプライドを傷つける。
「う、うるさい」「これ位の事で、俺様が、ガチゴッチになる訳無いだろ」
アイツ誰だ、気になる、気になって仕方がない
「さっきから、かなりお話方が、、」「もし、よろければ、私が力添えをしましょうか?」「あの子イケメンだし」まじかで、見てみたい
「お前なぁ」「心の声が、ダダ漏れだぞ」
「お前は、邪魔だここで待ってろ」「俺一人で、行って来る」「これぐらいの事で、この俺様が、、、」
ヤツメは、片手で頭を、覆いながら、文華の所に歩み始め、文華に向かって、こわばる顔を必死になって、引き上げ笑みを浮かべ、軽く手を振る。
ヤツメの姿を見て、少し驚いた様子だった文華だが、直ぐに笑顔を見せて、ヤツメ同様に手を振って、ヤツメを待つ
「ヤツメさん、どうしました?」
こんな所迄
「ちょとな気になって、このノートの事が」
そいつは、いったい何者なんだよ
「本当は、寄りたかったのですが、訳が、有りまして」
凄く怖い顔で、健一君の事、チラチラ見てる~
早く事情を、話さ無いと、彼に悪いよ
「ん?」「何か、事情が有ったのか」「何が、有ったの」
あ、なんか俺、嫌な奴だなこんなつもりじゃ無かったに、ごめん
「それがね」と文華が、事情を話しだそうとすると、健一が突然文華に向かって、それを阻止するかの様に、首を大きく振って、文華の瞳を見つめる。
健一の真剣な眼差しを見た文華は、言葉を濁らせる。
「ヤツメさんごめんなさい」「ちょと今は言えないの」「また今度話せる時が来たら」
「その時、話しますね」
あ~気まずいな、凄~く
こんなに近くにいるのに、何も話せ無いって、こんなに辛いの
文華が、困り果てて居る事を、顔をみて、うかがい知る事が、出来たヤツメは、優しく頭を二回、ポンポンと、叩き、文華の瞳を覗き込み、ニッコリと微笑む。
またこれ、イヤ近いよ、人が見てるのに、私倒れちゃうよ
「これ、君の為に書いたんだ」「出来るなら、早めに見てくれと、嬉しいよ」
ヤツメは、本来の目的である恋文を渡し、家路に向かう
「あの男の子の目的解ったのヤツメ様」
「制服から見て、同じ学校の生徒だろうが」「アイツ何か、秘密が有るみたいだった」「文華は、その相談に乗って居るって所かな」
「大丈夫なの」「あの子、あやしい目つきをしていたよ」
「大丈夫だ、近い内に、俺の家に相談に来る」「あの子の瞳には、純粋なるつぼみが、一つしっかり有った」
「純粋なるつぼみって」「あのつぼみ?」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。